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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
11・3 小さな喜び [画像を表示]

11・3 小さな喜び (2013/11/03)  突然、30代後半ほどの白人系女性に呼び止められた。セントロを歩くときは、周囲に気を配って気をはりつめて歩いているので、一瞬びっくりした。どうしたんだ? 小奇麗な服を着た、その女性が話し始めた。
「すみません。バス代をもらえませんか?」数秒迷ったあげく、「持ち合わせがないので・・・」と言って彼女の横を通り過ぎた。
 以前にも、同様の女性にやはりバス代をくれと言われたことがあった。少しでもあげれば、足しになるだろうと思い、1レアル札をあげようとしたところ、10レアルくれ、と言われ2レアル渡して、不満げな顔をされたことがあった。もしかしたら、ドロボウにお金をとられて困っているのかもしれないと思ってお金をあげようとしたのだが、10レアルもあげる気はなかった。それ以来この手の女性には、かかわるつもりはなかった。
 道を歩いているときは、カメラを持っているし、シャッターチャンスをいつも探しているので、自然、怖い顔をしているはずなのだが・・・。意外に、金をせがまれたり、道を聞かれたりすることが多い。自分ではわからないだけで、実はニヤついた、声をかけやすい顔をして歩いているのかもしれない。
 今日の僕の目当ては、声をかけられた地点から100mほど先にいる、幼い兄弟のミュージシャンだった。前回は持ち金がなく、お金を渡すこともなく写真を撮っていたので、今日は前回の分も渡したいと思っていた。
 いた! 12,13歳のギターを弾きながら歌っている男の子の横で、3歳ほどの男の子がギターカバーをギターのように抱えて歌っている。兄の歌声に合わせて歌おうとしているのが、全然リズムがあっていないところがまた可愛らしい。行き交う人々の顔が、この幼い兄弟を見て自然にほころぶ。
 すぐ前で、写真を撮る振りをすると、歌っている兄が頭を縦に振って、いいよ、と合図を送ってくれたので、5,6枚撮った。そして、ズボンに入っている限りのコインを、前に置かれている箱に入れた。片方の手のひらに山盛りになるほどのコインがあったから、おそらく10レアルちかくはあったと思う。
 お金を入れた後立ち去ろうとすると、弟の方が「あなたとあなたの家族に幸がありますように!」と大きな声で言ってくれ、小さな手を振ってくれた。恐らく、僕が多めにお金を入れるところを見ていたのだろう。先の女性にお金をわたしていたら不満気な顔をされれていたかもしれない。写真を撮らせてもらった代償として渡したのだが、兄弟は、心から喜んでくれた。僕もギリギリの生活をしている身だから、どうせお金を渡すなら喜んでくれる方がいいに決まっている。この兄弟に喜んでもらって僕もすっかりうれしくなった。

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街路樹の萌える若葉を見ていると、すがすがしい気持ちになる。もう少し暖かくなってくれたら言うことはないのだが。


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