1・13 一流を楽しむには (2014/01/13)
「そんなん、安いじゃ~ん。今、映画でも30レアル(約1400円)はするのよ・・・」 エスコーラ・デ・サンバの練習見学の料金を尋ねて、「高い!」と僕が驚いた時の知人の言葉だ。サンパウロのど真ん中に住みながら、ほとんど人にも会わずできるだけお金をかけずに暮らしている僕には、高かった。自分の貧しさが恥ずかしくなってそれ以上なにも言えなかった。しかし、東京以上に物価が高く感じる、今のサンパウロでは彼女の言う通りだと思う。 価値観の違いも大きいと思う。「すぐ近くでサンバの練習を見れるのだから、30レアルなんて安いもの」と考える人と、「所詮、練習なんだし、人がいっぱいで見えないし・・・」と考える人では、当然料金のたいする価値観は異なる。 僕は、どちらかと言えば、後者であるが、30レアルだしてでも練習場での迫力一杯の演奏は、1度は行って見て聞いてみる価値は十分あると思う。何度か行ってその迫力には驚いた。もっとも、いつもいつも練習が見られるわけではなく、退屈な(僕には。ブラジル人はのりのりだった)コンサートだったりしてがっかりすることもしばしばあった。 何処の練習場も辺鄙なところにあり、夜遅い。僕は車ももっていないから、往復のバス代あるいはタクシー代をだしてさらに30レアルというのはかなり苦しい。僕のように映画料金30レアルさえも高く感じている人間は、広場などで、オープンで練習しているマイナの小さなエスコーラ・デ・サンバでも十分楽しめる。もっとも迫力は全然違うが・・・。一流のものを味わうには、やはりそれなりのお金は必要なのである。ブラジルは日本以上にその傾向が強いと思う。
 | 練習施設をもたない、小さなエスコーラ・デ・ザンバ。 |
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