1・19 ゲイ青年の死 (2014/01/19)
バタバタバタ・・・、夕の7時、夕飯を食べていると、ヘリコプターがアパートの上空でホバリングする騒音が周囲に響き渡る。また、デモ行進か? と思い窓から外を見下ろすと、ノーベ・・デ・ジュリオ橋を2,300人の人々が行進していた。デモ行進にしては、人数が少ない。それにしては、しっかりと警察が後ろからついてきているし、いったいなんだろうと、思っていた。通常、抗議デモ隊はアパートの前の市議会前まで来るのだが、この行進は橋の真ん中で止まってしまった。何人かが小さな明かりを持っているのも通常の抗議デモと異なる。 テレビをつけると、ゲイの青年が、深夜ディスコを出た後、ノーベ・デ・ジュリオ橋から突き落とされて死亡した、というニュースがちょうど流れていた。犯人は解っていないらしい。あっ、これだ! 今行われている行進は、このゲイ青年の追悼だということに気が付いた。小さな光は蝋燭だろう。もう一度窓の外を見たときには、橋の中ほどに蝋燭を置いて行進はほぼ解散してしまっていた。せめて、蝋燭だけでも撮ろうと橋にいくと、思っていた以上に多くの蝋燭があった。 ニュースでは、犯人はゲイを敵視するスキンヘッド・グループではないかと言われている。警察が周囲を固めていたのは、おそらく行進を企画したゲイ友達が、スキンヘッドの襲撃を恐れて、警察を要請したのだろう。「スキヘッドがゲイ狩りをするから気を付けた方が良いですよ。僕の友人も男二人で歩いていてゲイと間違えられて襲われましたから」と友人が言っていたことを思い出した。 最近は驚くほどゲイが増えている。僕の印象ではブラジル男の5人に1人はゲイではないだろうか? と思うほどである。それほど、特にセントロにはゲイが多い。ブラジル各地で行われているゲイパレードも毎年盛んになり、ゲイは確実に市民権を得ている。カナバレスコ、芸術家、スチュアート、ガルソン、美容師、・・・はほぼゲイらしい。感覚が繊細で対応がやわらかく気が付くからこうした職業に向いているのだろう。今まで、芸術家、カナバレスコからはじまり、男娼までいろいろなゲイに接してきたが、いわゆる知識階層と呼ばれる職業のゲイは、ソフトで才能豊かで素晴らしい人々が多かった。一方、下級階層のゲイは、うるさく、執着心が強く、うんざりするような人が多かった。 ブラジルは移民国家だけに世界中の移民が暮らし、ただでさえ複雑で様々な問題を抱えている。最近では、さらにゲイ、レズなどの同性愛の人々、それらの人々を排除しようとする人々などの問題も加わり、ますます複雑な社会になってきた。一見、なんでもありの住みやすい社会に見えるが、実際はどんどん住みづらい社会になっているような気がする。 最近の日本の男性は、ブラジル人から見れば、やせた体型で女性っぽい服装や髪形のゲイっぽい人が多いから、旅行や仕事でサンパウロに来る人はスキンヘッドに襲われないように十分気を付けた方が良いと思う
 | 世界共通? 虹色はゲイのシンポル。よく見ると虹色の傘が見える |
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