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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
2・8 サンパウロに住む [画像を表示]

2・8 サンパウロに住む (2014/02/08)  バスの窓から、セントロの町を見ていると、占拠された古い高層アパートが目につく。窓ガラスがなくベニヤや黒ビニールが張られていて、赤をバックに白字で組織名を書いた横断幕などが掲げられているからすぐわかる。
 去年、新聞でみたときには、サンパウロのセントロには17,18(記憶に定かではない)の占拠ビルがあるような事を書かれていた。おそらく今はもっとあるだろう。去年の6月のバス料金値上げデモを境に、センテット(屋根なし住民)たちが、「住居を! よりよい生活を!」求めてデモをするようになった。デモをするだけなら良いのだが、彼らは力づくで道路を封鎖し渋滞をひきおこす。なぜか、警察も彼らに対して強硬手段はとらないし、機動隊が出動することはない。女子供が多く参加しているから、怪我人が出たら一斉にマスコミに叩かれるだろうことを恐れてということも大きいだろうが、政治の介入が大きいような気がする。
 金持ちや政治家は、汚職贈賄脱税でどんどん金太り、下流以下の貧乏な人々はアパートや土地を占拠して住む。もちろん貧乏な人々が皆そういう人ばかりでないことは解っているが・・・。使わなくなって持ち主も解らなくなったビルに住んで、なぜ悪い? 資本家が力でぶんどって新しいアパートを立てて分譲するよりいいではないか! おそらく占拠する人々の理論はこんな感じだろう。
たとえば、事故を起こしても、多くの金持ちは金ですましたり、権力でうやむやにてしまう。そして、多くの貧乏人は金を持っていないからと言って知らん顔をする。訴えても訴訟料にお金が嵩むので、被害にあった方の多くは泣き寝入りをすることとなる。結局、彼らのとばっちりを受けるのは中流・下流の真面目に働く人々である。
毎月の住宅ローンにあえぎながら、たまに夕食にでると強盗に襲われる。そんな不運な人もいるのではないだろうか? そんなことを考えていると、腹が立ってくる。多くの中間層の働きによって国は成り立っているのに、今のブラジルは中間層を痛めつけている。こんな国がよくなるわけがない。
2000年ころから世界中から怒涛のように情報や製品が流れ込み巷にあふれ始めた。多くの若者は、まじめに働いてもわずかな賃金しか手にすることができず、欲しいモノだらけになっているのではないだろうか。そのうち麻薬に手をだし、強盗に走る。簡単に金が手に入ることを覚え、逮捕されても未成年はすぐ解放されるからまた犯罪をひきおこす。それが今のサンパウロの若者が強盗に走る大まかな図式ではないだろうか。
「外から家に帰ってほっとするわ。もう家以外の場所は安心できないわ」そう言った白人系のおばさんの言葉が強く印象に残った。もっとも最近は家にいても安心だとはいいきれないが・・・。
ここ数年サンパウロは、いろいろ便利になった反面、物価はあがるし、治安は悪化するし、本当に住みづらくなった。そんな住みづらい町にもかかわらず未だに住み続けている。もう20年以上も住んで、アパートも買ってしまった身には、他の場所に移るのはなかなか難しいのだ。それと、何よりサンパウロの生活がなんだかんだ言って好きなのだと思う

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占拠されないように入口をコンクリートでガチガチに固められた廃業したホテル


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