2・13 マカコ (2014/02/13)
「は~い、元気! コインはな~い?」 ビーチサンダルをはいて、見るからに路上生活者と解る、背が高くごついゲイ男がシナを作ってよってきた。自分では目いっぱい、かわいらしく言っているつもりのようだが、こちらからすれば怖いだけだ。だいたいこんなに朝早く犬を連れて散歩中なのに、お金を持っている訳がない。遠回りをして、避けると、ごついながらもにこやかだった顔が、目がひきつり凶暴なゴリラのような顔に突然変わった。 「なによ、サル!! ケチ!」 顔はゴリラに激変したが、喋り方はゲイのままヒステリックな声を上げた。 一瞬むっとした。こんなゲイゴリラにサルと言われる筋合いはない! しかし、こんな奴にかかわるとロクなことがない。レベルの低いゲイはしつこし、執念深い。以前身を持ってわかっていた。 「おまえはサルにお金をねだっているのか! サル以下だな」とよっぽど言い返そうかと思ったが、ぐっと我慢をし、何も言わず遠巻きにして通り過ぎた。 こんな男には、たとえ金を持っていても絶対やらない。刃物や銃を持っていて、突然強盗になるかもしれない。1m以内には近づけないし、近づかない。服装やかっこうだけで人を判断して近くに寄せ付けないというのは、失礼な行動あるし、差別である。解っているのだが、普段かならずカメラを携帯しているし、サンパウロには強盗が多すぎるから仕方がない。 今朝のニュースでは、クルゼイロの黒人サッカー選手、Tingaが試合中「猿」と呼ばれ、「人種差別だ」と、話題となっている。移民国家のブラジルでは、人種差別問題や人権問題には異常に過敏なのだ。そのくせ、仲間同士では、平気で「マカコ(猿)」「プレット(黒ん坊)」「ゴールダ(デブ)」などと呼び合って問題にならないのだから面白い。からかいをこめたり、悪意をこめて呼んでいるのではなく、単なるアダナとして呼んでいることを本人もしっているから問題がないのだろう。しかし、最近は、いわゆる知識階層やマスコミが人種差別や人権問題を気にしすぎているような気がしないでもない。
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