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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
3・10 反省

3・10 反省 (2014/03/11)  夕、外出しようと、アパート建物の出口に向かっていると、ゼラードール(門番主任?)が話しかけてきた。一瞬なんだろうと身構えた。こいつには、何度も苦い目にあわされている。約束の時間には来ないし、以前、階下のアパートで水漏れがあった時も、その後どうなったのか、一切知らせてこなかった。いつもニコニコしていて人当たりはいいのだが、責任感がまったくない、あてにならない典型的なブラジル人であった。はっきり言って話もしたくなかった。
 今回の階下の水漏れも彼から話したいとの伝言があったのだが、僕からは話もしなかった。おそらく僕が怒っていることを彼も感じているのだろう。
 軽い笑みを浮かべながらやってきた彼が話し始めた。
「悪かったですね、いろいろ迷惑をかけて。結局、水漏れはあなたの隣のアパートが問題だということがわかったので今日直しました。すみませんでした」
 まさか、彼が謝ってくるとは思ってもいなかったし、彼に謝ってもらおうとは全然思っていなかったので驚いた。ブラジル人が、反省して謝ることはまずない。以前、彼女と住んでいる時に、過ちを犯しても、言い訳ばかりして自分の非を認めないので、「少しは反省しろ」と言いたくてポルトガル語で「反省する」と言う言葉を探したが、ピッタリする言葉が見つからなかった(もしかしたらあるのかもしれないが僕が探した限りではなかった)。
これだけ、ちゃんとブラジル人に謝られたのは初めてのことかもしれない。恐らく彼は以前の対応を反省していたのだ。僕が思っている以上に素直な人間だったのだ。「前も今日みたいにちゃんと教えてくれればよかったのに・・・」と言う言葉がのどまで出かかったが、せっかく彼が謝ってくれているのに、今言うべき言葉ではないと思い、ぐっと飲み込んだ。彼のことをすっかり見直してしまった。


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