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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2020/07/02)
4・29 デモを撮る [全画像を表示]

4・29 デモを撮る (2014/04/30)  朝6時、いつものように犬たちの散歩にでる。昨日のセンテットの激しいデモで、道路にはゴミがちらかり汚くなっているだろうと思いながら道を曲がると、議会前には70人あまりの人々がテントを張ったり、クッションで寝ていた。まだ抗議デモはつづいていたのだ。

アパートのすぐ前にある議会前で、今日もセンテットのデモが行われている。このところほぼ毎週のように行われていて、さほど珍しいことではなかった。「先週、撮ったから今日はいいや」と思い、そのまま通り過ぎ街の写真を撮りに出かけた。街の写真が思うように撮れず、少々がっかりして帰ってきたところ、まだ、デモは続いていた。「あれ、どうしたのだろう? いつもならもう終わっているはずなのに・・・」せっかくだから1,2枚撮っておくかという軽い気持ちで群衆の中に入った。人混みをかき分けて前へ前へと進んでいると、先週のデモで顔見知りになった青年が「あれっ、今日も来ているの?」と言ってニッコリした。それまで、冷たい目で僕を見ていた周囲の雰囲気が柔らかくなった。自分達の敵ではない、と思ってくれたようだ。
塀に上がって写真を撮っていると、どこで見つけたのか、数人の男が古タイヤを頭にのせて、群衆をかき分けてやってくる。あれよ、あれよという間に、僕のすぐそばにタイヤの山が築かれた。ポリタンクを持った男が中のガソリンを振りまき、火をつけた。あっという間に燃え上がり、3mほどの炎が立ち上がる。火をみた人々は歓声をあげ拳を振り上げる。数人の人々が周りを狂ったようにかける。群衆にも火がつけられたのだ。主催者らしき男が懸命に群衆を鎮めようとするが、いったん燃え上がった炎は簡単には収まらない。会議場に向け投石が行われ、いろんなものが投げられる。前で写真を撮っていた僕も、何度か石があたりそうになる。燃え上がる炎と群衆の写真を、我を忘れて撮っていると、主催者の一人の男が僕の背中を軽く押した。「水をかけられるぞ!」後ろを向くと、建物の中からホースを引っ張ってきた警備の警官が放水しはじめた。危機一髪であった。もし、そのままいたら、カメラはびしょ濡れになっただろう。
群衆はますますエスカレートし、公衆電話からゴミ箱から道路にあるものを狂ったように壊しはじめる。それでも、群衆のほとんどが30以上で道徳意識がある人々のせいかある程度の抑制がはたらき、商店やアパートなどへの攻撃はない。もし、これが学生やブラック・ボックスと呼ばれる若者たちであれば、商店のシャッターに体当たりをしたり、バンカ(新聞や雑誌を売るボックス)などにも破壊行為をしていただろう。そうするうちに機動隊がやってきて、ゴム弾を打ち始めた。群衆は蜘蛛の子を散らすように逃げる。実は彼らが怖いのだ。ゴム弾にあたって、失明したカメラマンや、顔面を腫らした女性記者など、被害にあったマスコミの人間はかなりいる。ガス弾に手投げ弾、さらに唐辛子スプレーで攻撃し群衆を追い払う。自分達の何倍もいる群衆がいるわけだから、彼らも、容赦がない。
機動隊の後ろに回り込み、横から後ろから望遠で写真を撮る。本当は機動隊にもっと近寄り撮りたかったが、何の後ろ盾もないフリーのカメラマンだからそれほど無理もできない。世界中が荒れている昨今、これくらいのデモ写真を買い上げてくれるところなぞない。
ゴム弾の破片らしきものが顔を直撃し目のすぐ横にあたった。破片でさえ結構痛かった。まともにあたると大変なことになるだろう。機動隊は盾で投石を防ぎながら前へ前へと進んでいく。前に回って、進んでくる機動隊を町の建物をバックに撮りたかったが、群衆の一人と間違えられる可能性も十分あるので、これも諦める。要するに肝が据わっていないのである。群衆はゴミ箱に火をつける。機動隊が学生たちに対するほど激しい攻撃を加えないのは、この群衆が一般市民で、さらに政治的力がバックにあること、怪我人がでれば、マスコミに一挙に叩かれること、彼らがこれ以上大きな破壊行為をしないことを知っているからだろう。
想像以上の群衆の動きの速さ、凶暴さ、機動隊の怖さが身に染みた。軽い気持ちでは撮れないことを思い知った。

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普通のデモだったが・・・

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火がつけられ、群衆ノ動きが変わった

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機動隊ガ入った


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