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     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
6・18 ブラジル人なみの自己主張 [画像を表示]

6・18 ブラジル人なみの自己主張 (2014/06/18)  ブラジル×メキシコ戦で、アニャンガバウーの観戦場は3万人もの観衆が押し寄せ、途中で入場を止めたらしい。早い目に会場に着いていたので、そんなことは全くしらなかった。
 僕自身も、今回は入場に際して、あっちに振られ、こっちに振られし、結局、今日は、マスコミはもう入れないと告げられた。もう止めようかと思ったが、初日に入った入り口が管理が緩かったことを思い出し、マスコミの許可証もポケットに入れて、一般人として入ることにした。カメラに何か言われるかと思ったが、まったく問題なく入場することができた。いかにもブラジルらしい。あの手、この手と、抜け目なく行えるようになった自分自身に「まるでブラジル人だな」とちょっと呆れてしまったが、20年もブラジルに住んでいるのだから、ブラジル人に負けないように生きていくにはそれも仕方がない。
 無事入場し、最初から目を付けていた場所に陣取る。僕が入ったときはそれほどでもなかったが、観衆はどんどん増えて行き、会場は一杯になってしまった。できるだけ観戦に迷惑のならない場所で且つ、写真を撮るのに一番良い所にいたつもりだったが、僕の隣のわずかな隙間を見つけて、まるで、ネジのように割り込んでくる。それも一人ならいいが男女二人で割り込んでくる。1カップルが前半に入ってきたが、その場所が観戦には向かないことに気づき、出ていった。もう、絶対横に入れないつもりで隙間を作らないようにする。しかし、それでもまたカップルが割り込んできた。なんという奴らだ。少しでも隙間があれば、グリグリじわじわ割り込んでくる奴らには本当に腹が立った。ブラジル人には、隙を見せては絶対ダメだと、つくづく思った。
 入り込んでくる奴らは、人の迷惑なんてまったく考えず、自分達が見られれば良いとしか考えてないのだ。どんなにきつくても、その場を動くつもりはなかった。その一方では、何もそこまで頑なにならなくても、という気持ちがあったが、ここで気を許すと彼らがどんどん侵入してくることが解っていた。そうするうちに、男の方が、「もうちょっとそっちに寄ってくれない?」と言ってきた。決して腹立たしい言い方ではない。しかし、「この場所が必要だからできないよ。割り込んできたのは君たちだろう」と彼にちょっと強めに言った。そういう僕の頑なさを非難したかったのか、最初に僕の横にいた女性に同意を求めるように「こいつひどい奴だ」という感じで彼は彼女を見た。しかし、その女性も「そうよ。あんた達がわりこんできたのよ。仕方ないわね」と言ってくれたので、彼はそれ以上何も言わずにだまってしまった。
 ブラジル人の多くは、悪気もなく平気で人に迷惑をかけることをする。彼らは何も考えてないのだ。はっきり言って、人に対する繊細さがなく機微が解らないのだ。ある意味、バカなのだ。自分らが割り込んできているのに、彼らからすれば僕が意地悪しているとしか思っていないのである。
 僕のいる場所はなんとか正面に観衆の視線を捉えることのできるギリギリの場所だった。さらに寄れば、視線は外れてしまう。だから、例え10センチでもそこから寄るつもりはなかった。
 気が付かない間に、頑なに、且つ、はっきりと嫌だと言えるようになったものだ。ブラジルでは、いや海外では、はっきり、嫌なモノは嫌だ、と自己主張しないと結局自分が困ることになってしまうことが身に染みて解っていた。
 そんな自分に一人苦笑いしながら、いる所から一歩も動かず写真を撮り続けた。

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会場は満杯

 


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