9・7 人の振り見て我振り返れ (2014/09/07)
無農薬野菜市で、いつも買う卵のボックスにいくと、テレビクルーが撮影をしていた。おばさんが、「いま、グローボが撮影しているから、あなたも映るわよ!」 ドイツ系のおばさんは、今日はうっすらと化粧もして幾分か緊張気味である。 「映りたくないから」と僕。実は、テレビや写真がきらいなのである。自分が撮らせてもらう立場のことが多いから写真は遠くからとられていても我慢はするが、テレビははっきりと撮らないでくれということにしている。 カメラマンがビデオカメラをもちあげてこちらの方を向いたので。 「撮らないでね」と先に頼んだ。そうすると、モレーノのカメラマンは 「誰が撮るって言った!」と言い放ってきた。こいつはいったい何様のつもりだ。単にグローボのカメラマンだというだけではないか! グローボ局はブラジルで一番金を持ったテレビ局で、全国的にもっとも視聴率が高い? 局である。働いているカメラマンやアナウンサー、スタッフは鼻が高い人が多い傾向にある。政府や政治家と一緒になって情報操作をしていることがバレて、市民運動をする人々や、学生にはもっとも嫌われている局でもある。デモでは、「グローボは帰れ!」と人々に詰め寄られ、取材もできないありさまである。センテットのデモでも、解散にあたって主催者が、「グローボには気を付けて!」と皆に注意するほどであるから、今までどれほど情報操作をやってきたことかが解る。 今日は帰ってから仕事が控えていたのでぐっと怒りをこらえて、この男を睨みつけただけで何も言わなかった。確かに彼は撮る気なぞまったくなかったのかもしれない。しかし、横柄に「誰が撮るって言った!」という必要があるのだろうか。黒人系の多くの成り上がり者は、差別を散々受けて這い上がってきたような人が多いから、ほとんどは性格がいじけている。この男などは典型的いじけマンなのだろう。その一方で苦労を知っているだけに、人間ができていて、他人に対してびっくりするほど親切な人もいるが、そういう人は、僕が今まであった黒人系の成り上がり者の中ではわずかであった。 写真やビデオを撮る人間は、撮らせてくださいとお願いする立場で、撮ってやる、という立場ではない。「人のふり見て我振り返れ」で、自分自身も十分気を付けなければいけないことだ、と思ってしまった。
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