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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・27 後ろめたさ

10・27 後ろめたさ (2014/10/27) ふっと目が覚ましたら、6時。慌てて散歩の用意をして外に出る。夏時間で1時間時計を早めたおかげで外は薄暗い。やっぱり朝の散歩はこれくらいの暗さがいい。そんなことを思いながら、リベルダーデの折り返し地点を過ぎて、帰りにさしかかった所で、100mほど先で、人がゴロゴロしているのが見えた。おそらく路上生活者が酒か麻薬に酔っ払っているのだろう。もし麻薬で飛んでいるのだったら、錯乱して何をするのか解らないから怖い。ただ、いい気分になってふざけてゴロゴロしている可能性もある。一瞬このまま進もうか迷った。目が悪いのではっきり見えないが、すぐ近くの停留所には10数人がいるのでさして問題はないだろう、と考えそのままずんずん進む。
 停留所で待っている人々の間を通り抜け、すぐ先の若者が横たわっている付近にきた。できるだけ見ないようにして通り過ぎる。麻薬で飛んだ人間は、ヘタに目が合うと何をしてくるかわからないからだ。通りすぎて、数m行った所でチラリと後ろを振り向いて彼をみた。なんとなく痙攣しているような?? 目が悪いのではっきりしないが様子がおかしい。近くのいた男もおかしいことに気付いたのか、その若者の所に近寄って行った。
 ちょうど前から大柄な警官がきたので、「セニョール、あそこにいる若者の具合が悪いみたいだよ」と伝えた。ちょうど僕の後ろから歩いてきたおばさんも「救急をよんだ方がいいわ」と妙に冷ややかな口調で言った。警官は返事をするでもなく、足を速めるでもなく、まるで何も聞かなかったごとく同じ歩調で若者の所に行った。
 路上生活者やストリートチルドレンが麻薬で飛んで、地面でゴロゴロしていることは、セントロ周辺では結構よく見かける光景だけに、僕自身も周囲にいた人間も、判断が付かなかったことは確かである。散歩中だったので携帯もお金も何ももっていなかった。もし何か問題があるのだったら、「だれかが救急を呼ぶさ」、という気持ちもあった。かといって、心臓麻痺? で痙攣している? 人間を置き去りにしてしまった自分が後ろめたくなった。そう考えると決して人の行動は批判できなかった。後味の悪い散歩になってしまった。


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