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     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
11・16 食の安全

11・16 食の安全 (2014/11/15)  なんで、自然農法をつづけたのか、先週帰りのバスの中でずっと疑問だった。
 今日は、そのことを聞こうと思いながら、オルガニック市に向かった。
「あの頃、弟が農薬のせいで失明しかけたんだよね。農業をこのまま続けて、身体を壊すか、農業をやめるかって悩んでいたんだ。そんな時、知り合いの世界救世教の信者が自然農法のことを教えてくれたの。救世教の創始者、岡田茂吉は自然農法を励奨していたからね。
 だから、農業を続けるなら農薬を使わないようにするしかなかったんだ」
 お客さんが来てきているのに、「いいから、いいから」と言いながら、構わず話しを続けてくれた。笑顔にも人の良さが滲み出ているが、本当にこのおじさんは人がいいのだ。
「今は農薬もっと凄いよね。だけどブラジルの農家は自分で仕事しないで、人を雇ってやらせているから、農薬を使うと、使っている人間も身体を壊すなんて関係ないんだ。雇われている人も、すぐ辞めて行くから表面的には問題になってないよね」
 そんな話を聞いて、改めて、農薬の恐ろしさを知らされたような気がした。僕の場合は母が救世教の信者だったので、畑を借りて家族が食べる野菜を栽培していた。小さなころからできるだけ無農薬野菜を食べるようにしつけられていたから、今でも無農薬野菜を食べるのが習慣になってしまっている。ただ、ブラジルの場合、無農薬野菜と言ってもどこまで信じられるのか解らない。三つ子の魂百までというが、例え信じられないと解っていても、無農薬野菜を食べる癖がついているからしょうがない。「無農薬野菜だよ」って言われれば信じて食べるしかないのである。少なくとも普通に売られている野菜などよりは、農薬がかかっていないだろう。そう思って自分を慰めながら、わざわざ毎週バスに乗って無農薬野菜を買いに行っている。自分では、趣味の様なものだと思っている。
 僕が農薬の恐ろしさや、成長剤などの恐ろしさをいつも口にするので、息子にも、その考えが感染したようで、彼も食には気を付けるようになった。ハンバーガーや炭酸飲料は飲食しないらしい。母から僕へ、僕から息子へと食の安全に対する考えが伝わっていったことは良い事かなと思っている


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