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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
2・1 ブロッコで [画像を表示]

2・1 ブロッコで (2015/02/01)  去年のカーニバルは、路上カーニバルを中心に写真を撮った。カーニバルの原点である一般市民のカーニバルを見たかったからだ。まるで僕の思いをさっしたかのように、路上カーニバルがびっくりするほど盛んに行われた。ほとんど規制が行われておらず、突発的に道路を練り歩く行進には警察も結構困ったらしい。今年は道路を行進する場合は、申請が必要だ、と去年のカーニバルが終わった段階で市が発表していたがどうなることやら・・・
 一方、カーニバル会場を彩るエスコーラ・デ・サンバは、もう一大企業となっていて、撮影するにあたって許可証がいるし、カメラを向けると、皆、撮られ慣れていて、モデルのようなポーズや笑顔を見せてくれる。確かに、それなりの決まった写真が撮れるが、僕の撮りたい写真ではない。その作り笑いを壊して、自分の撮りたい表情を撮るのがカメラマンの腕なのだろうが・・・。巨額の資金をかけて造った山車や衣装は豪華で圧倒的だ。もしサンボドロモ(カーニバル会場)に入るチャンスがあれば、もちろん入りたいとは思うが、実際、しがないフリーランスでは許可証をとるのはとても至難の業となっている。別にそんな無理をしなくても、そういった写真は、大きな新聞社が世界中に写真を配信するだろうし、僕がそれに競って写真を撮っても意味がない。趣味でやっているような小さなブロッコ(チーム)でも十分面白い。衣装などは本当にショボイが、参加者は皆人情味豊かで、気軽に僕のような初めての人間でも仲間に入れてくれる。
 サンタ・セシリアで、ブロッコが集まって練習するという新聞記事を見かけたので、見に行った。教会の横で歌と生演奏が行われていたが、待てども待てども、ブロッコが現れる気配がない。その楽団? の専属カメラマンらしき人がいたので、邪魔をしないように待つ間、ちょこちょこ写真を撮らせてもらっていた。すると1人の男が寄ってきて、「自分はこのブロッコの責任者なんだけど、撮った写真を見せてもらいたいんだけど・・・」という。一瞬考えたが、関係者との交流づくりも大切だなと思いメールを交わした。また、どこかのイベントで会えば写真をとるのに配慮してくれるかもしれない。最近、こうした関係づくりが非常に大切なことが身に染みてよく解ってきた。突然のイベントなども規制が厳しくなっている。しかし、まだまだ「アミーゴ社会」で顔見知りでも知り合いがいれば、意外にすんなり撮らせてくれる。
 写真を見せるとなると、今までの適当にチラチラ撮っていた写真ではダメだ。やっぱり恥ずかしくない写真を見せたいから気を入れて撮り直した。責任者だという中年の女性が、「写真を撮ってくれてありがとう」と挨拶の抱擁をしてきたのにはちょっと驚いたが。ここでは20年前に日本へダンサーとして踊りに行っていたという女性が声をかけてきたり、いろんな人に声をかけたり、たくさんの出会いがあった。今年の目標はできるだけたくさんの人と会おう、というのが目標だっただけに満足な日であった。
 そんなところに、2部クラスのエスコーラ・デ・サンバのポルタ・バンデイラ(エスコーラの旗を持って踊るカップル)の女性が衣装を着てやってきた。見ていると、なんとなく鼻が高い。「なんでこんなちっぽけなブロッコにこなきゃならないの」という感じがする。
写真を撮らせてもらったが、ファインダーの中でも鼻の高さを感じる。どう撮っても絵にならない。単に、背が高くて細いだけのモレーナというだけなのだが・・・。言いたくないがエスコーラ・デ・サンバのスペシャルチームのポルタ・バンデイラと比べると、どう見てもショボイし魅力もない。来たくないのに、格下のチームに無理に連れてこられたのかもしれないが、こういう態度はよくない。どういう所に行っても人を見下すような態度はしない方がいい。もっとも、彼女はまだ若い女性だったので自分が気付かないうちにそういう態度をとってしまったのかもしれない。どんな人に対しても同じ態度をとれる人間になりた、自戒も含めてそう思う。
 この頃、知らないブラジル人に気軽に声をかけられるようになった。少しはトゲトゲがなくなり、角がとれ丸くなってきたのかもしれない。

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