2・27 アコーディオン弾きおじさんの災難 (2015/02/27)
アコーディオン弾きのヘナウドおじさんが今日は橋のたもとの反対側で弾いている。どうしたのだろう。 「今日はどうしたの?」そう言って、2レアル紙幣を募金籠に入れた。近くを通るときには、できるだけ募金をするようにしているのだ。 「あの角で弾いていたら、警察がやって来て、ここじゃ弾いちゃダメだ、って言うんだ。苦情があったんだって!」いつもニコニコ笑顔のおじさんが珍しく憤慨した表情でいった。 騒音とは言えないほどの音量なのに、警察に電話して苦情をいうほどではないと思うのだが・・・。貧しいおじいさんが、アカーディオンを弾いてなんとか生計をたてているのを知りながら追い払うなんてひどい! 音量を落としてくれと言えばいいだけではないか! その人間の底意地の悪さを感じずにはいられない。 そうしているうちに、CDを鞄から出して見せてくれた。 「10年前に録音したCDを、息子が見つけて買ってきたんだ。俺は販売許可をだした覚えがないのにね」 そのCDの表紙には長髪のまだ若い中年の写真が載っていた。今の皺くちゃのおじさんとは似ても似つかない。「これおじさん?」聞くと、そうだ、と頷く。言われてよくよく見比べると確かに面影がある。10年まとは言っているが、実はもっと前なのではないだろうか? この時、作曲家の息子がいることを始めてしる。会う度に、ホテル代を稼ぐのが大変だ、大変だ、とこぼしているので、思わず「息子さんとくらしたらいいのに」と言いかけたが、余計な事だと思い直し言うのを止めた。おじさんにはおじさんの都合があるのだろうから・・・。
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