3・14 シャットな男 (2015/03/14)
「あら、久しぶりね! 仕事たくさんがんばってやってる?」 建物の同じ棟に住むおばあちゃんと、入り口ばったりとあった。同じエレベータを使っているのに、確かにもう4か月以上顔を合わしていなかった。ドイツ系白人の肥ったおばあちゃんで、おそらく75歳ほどだと思う。同じ建物に住む数少ない、僕が話す人のひとりである。 「ざんねんながら、最近はあまり忙しくないですね」 「そうなの。でも、健康に気を付けて頑張ってね。幸運を!」 かれこれ10年まえほどに、彼女とエレベータで会って話すようになった。彼女のお父さんもカメラマンだったそうで、出くわす度に優しく励ましてくれていた。 今日は不思議な日で、朝から話もしたこともないアパートの警備員が話しかけてきたり、バスのコブラドール(車掌?)が「ボン・ジア(おはよう)」と声をかけてくれたりしてくれる。今日はもしかしたら、僕の顔も、雰囲気も良いのかもしれない。最近少しずつこうした事がふえているような気がする。 自分が、愛想のない人間であることも、普段難しい顔をしていることも自覚している。ブラジル人からみたら、ずいぶんと接しづらい人間だと思う。ポルトガル語で言えば、「シャット(性格の悪い)な男」だろう。 気軽に話しかけてくれるブラジルンがすこしずつ出てきたということは、もしかしたら、ちょっとは、愛想がでてきて柔らかい顔つきになってきているのかもしれない。
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