6・18 朝の出来事 (2015/06/17)
「ジャッパ、ジャッパ(日本人の俗称)」と誰かが呼ぶのでそちらを向くと、路上生活者っぽい、ちょっと危なそうな男が近寄ってきた。危なそうな感じがしたので、足を止めずにそのまま歩き続けた。 犬を連れての散歩中でお金を一銭ももっていなかったし、危険を察知した僕の勘が「止まるな! 止まるな!」教えてくれていた。まだ7時前で薄暗いし、人通りも少ない。もし、この男が強盗なら、近くに寄ってきたら確実に襲われるだろう。気の弱さ、人の良さなんてものを見せるとブラジル人はずんずん付け入って来る。第一、そんな可能性ある男にかかわってもろくなことがない! 今までの経験からよく解っていた。知らない男は半径2m以内には決してよせつけないことにしているし、僕自身が人に何かを尋ねるときも近寄らないことにしている。 結局、その男は、僕に頼ってもダメだと判断したのか、他の通りがかり男に声をかけながら行ってしまった。 とにかく危なそうな男は、近くに寄せないのが一番である。普段高価なカメラを持ち歩いているので、そういう癖がすっかり身に染みついていた。人を信じられないのは悲しいことではあるが、ここサンパウロではそうしないと、やっていけない。
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