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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
7・2 日本人の常識が通用しないブラジル [画像を表示]

7・2 日本人の常識が通用しないブラジル (2015/07/02)  毎日早朝の散歩をしていると、出会う人がだいたい決まってくる。
今朝は、しばらく見ていなかった、フルーツ売りおっちゃんが出ていたし、1mほどのマリア像を担いで教会を往復するおじいちゃんとも久々に出くわした。このおじいちゃんは、信じ深くやさしい人なのであろう。パン屋でもらった屑パンを毎日ハトにあげている。ハトは空飛ぶドブネズミと言われるほど雑菌媒介する鳥であるから、本当はこういうことは止めて欲しいところだが、親切心でやっていることは解っているから文句はちょっといえない。随分前に、僕のアパートのベランダにハトが巣を作り、さんざん汚して巣立っていった。巣がある間は、羽毛やフケのようなものが、風が吹く度に舞い上がり、病原菌が怖かった覚えがある。できればこういうことは止めてもらいたいのだが・・・。
 ある時おじいちゃんの持つパンに目を付けた路上生活の男が、パンをちょうだい、と頼のむところに偶然出くわした。おじいちゃんは優しい笑顔を浮かべながらパンをこの男にあげるものだと思っていたが、口をへの字に曲げて、男を無視して行ってしまった。ハトにパンをやるくらいなら、この男にあげた方がずっと良いと思う。ブラジル人は弱い者や動物にびっくりするほど優しい面がある一方で、頑なな面がある。このおじいちゃんは人間のできた人だと思っていただけに、この様子を見てちょっとがっかりしてしまった。人間ができていないことを自分でも気づいているからこそ、毎朝、マリア像を担いで数キロ歩いているのかもしれない。

 とここまで書いて読み返しているうちに、ある話を思い出した。
 雑誌社で働いていた頃、シュラスカリア(ブラジリアン・バーベーキュー・レストラン)を取材したときに、「客が食べ残した肉はどうするのか? 」と聞いたことがある。シュラスカリアは食べ放題だから、客は肉が冷めたり、おいしくなかったりすると、惜しみもなく残す。だから、客が食べ残す肉はかなりの量になると思う。
「以前は貧しい人たちにあげていたのですが、食あたりをしたと訴えられて止めました。これはうちの店だけでなく他の店でもどうようなことがあったそうです」と言う答えが返ってきて驚いたことがある。
 もしかしたら、このおじいちゃんも、パン屋から「ハトにあげてもいいけれど、人にはあげないでくれ」と言われていたのかもしれない。
 ブラジルは、日本人の僕には、思いもよらないようなことがありすぎて何が何やらよくわからないことが多すぎる。決して日本人の常識は通用しない。

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未だにブラジルの常識がよくわからない。


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