7・14 危険反応 (2015/07/14)
セントロの店の入り口で、友達を待ちながらぼーっと考え事をしていた。 「おちゃん、おちゃん、1レアルちょうだい!」 とアフリカ系のストリートチルドレンが、ぬーっと手を出してきた。 考え事をしているときに、しかも、いかにもあぶなそうな奴が、突然、手をだしてきたのでびっくりして後ずさった。 そんな僕の様子をみて、彼と一緒にいたストリートチルドレンが笑った。 その時はただただびっくりして後ずさってしまったが、後で考えてみると、彼はカバンを盗もうとしたわけでも、脅すような感じでもなく、小銭を乞うてきただけだった。彼を傷つけてしまったのでは? とちょっと反省した。普段から、ストリート・チルドレン、特にアフリカ系は危ない、という妙な潜入感があるからこんなことになってしまったのだ。もっとも実際アフリカ系の人間には泥棒や強盗が多い傾向にあるから、差別だとはわかりつつも、ぼーっとしている時などには身体が自然に反応してしまう 以前、高級住宅街のジャルジン・パウリスタ地区で、道を聞こうと、横断歩道で青に変わるのを待っていたおばあちゃんに尋ねたところ、僕のことを泥棒と勘違いし腰を抜かさんばかりにびっくりして、あやうく、側溝に足を取られて倒れそうになった。そのあまりに取り乱した様子は、こちらがびっくりするほどであった。サンパウロに住む人たちは皆心の片隅に、常に危険に対する不安を感じながら生活しているのだ。 それ以来、知らない人に、道を聞いたり、何かを教えてもらたりするときには2mほど手前から声をかけるようにしている。それは、逆に声をかけられるときも同じで2m以上近寄らせないようにしている。道を聞くふりや、ものを乞うふりをして強盗に豹変してしまう奴らが幾らでもいるから仕方がない。ストリート・チルドレンに小銭を乞われ、あげようとして、財布ごとひったくられたなんていうこともしょっちゅうある。 悪いことをしようなんて思ってもない人にまで、そういう態度をとるのは、大変失礼だと思うが、僕は、いつもカメラを携帯しているので、もし、盗られたら今後の仕事に差し支えるから仕方がない。基本的には、通りでは知らない人間に声をかけられてもあまり近づけないようにしている。
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