8・19 目 (2015/08/18)
イッペーの写真を撮っていると、後ろから「写真なんか撮っているとカメラ盗るぞ!」と言う声が聞こえた。後ろを振り向くと、ストリート・チルドレン風の小汚い男が通り過ぎて行った。顔と身体を見る限りでは、もう、子供というよりは大人という感じである。 本当に盗るつもりなら、何も言わないで襲いかかってきているだろうから、そんな気はなかったのだろう。もし二人連れなら襲ってきていたかもしれない。そう思うとぞっとする。 荷物もたくさんあったし、もう、それ以上は撮る気がしなくなった。サンパウロでは粘って写真を撮るとろくなことがない。たったたと数枚撮ってきりあげるのが一番良い。粘って撮っていると、目を引くし、顔を覚えられて、次回襲われる可能性が高くなる。 路上の人々は誰も見ていないようでしっかり見ている。僕が毎朝2匹の犬を連れて散歩していることも、散歩コース周辺の人々は見ているし、僕が写真を撮りながらセントロを徘徊していることも、セントロ周辺の路上販売人や路上生活者はよく知っている。 以前、気の良いオシのストリート・チルドレンがいて、カメラに気を付けろ! とか、写真を撮れ! とか身振り手振りで教えてくれた。そんな彼もいつのまにか見なくなってしまった。どこへ行ってしまったのだろう。 大分前に、通りがかりの知らないおじさんと目があったことがあった。突然「毎朝、犬の散歩してえらいね~」と言われて、びっくり仰天したこともある。 サンパウロほどの大都市だと、どこかでここかで人がみているのである。その上、このごろは監視カメラが町中に設置されているから、泥棒などをすれば、すぐ顔が割れてしまう。 サンパウロの路上は、監視の目がいたるところにあり、自由がない、と言っても過言ではない。まったく怖い社会になってしまったものだ。
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