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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
8・26 危機一髪

8・26 危機一髪 (2015/08/25)  前夜、何故か寝つきが悪くベッドの中でなかなか眠れなかった。朝の散歩にいった後、軽い眠気に襲われた。そんな時、電話がなった。ちょっと機嫌が悪い声で出ると、中年の低いおばさん声が返ってきた。
「アキノリ?」
むむむ・・・僕の名前をしっているとは、銀行からか、勧誘か、はたまた募金の勧誘か?
そんなことを考えながら「そうだけど・・・」
「昨日あなたのクレジット・カードで1380レアル(約5万円)の買い物がロージャスアメリカーナ(格安販売店)でされているけれど、使用しましたか?」
「そんな買い物はしていないけど」
「そうですか? おかしいと思って、もう、この買い物の額はキャンセルされましたので安心してください。ただ、その買い物はしていない、という書いたモノが必要なので、これからいうことを、紙に書いて封筒に入れて、モトボーイ(バイク便)に渡してくれますか?」
 ほとんどカードは使わないし、使っても信頼できると思われる大きな店か、知人の店しかつかっていなかった。今までカードでの問題は、レストランで2回料金を打ち込まれ3000円ほどの被害があった。それ以外、クーロンされたこともパスワードなどを盗まれたことがなかったので、彼女の親切な対応をすっかり信用してしまった。一度友人から、クレジット・カードを誰かに使われ、カード会社から電話がかかってきたという話は聞いていた。しかし、このような紙の証明を書いたという話は聞いていなかったので

「アレッ」と思った。
「今から私の言う番号を書いてください。この番号は私が受けたという証明番号になりますからなくさないようにしてください。48○○○・・・」
 なんとも長い受付番号を言われるままに書いた
「それでは私の言う通りに書いてください(ポ語)私、カジサコアキノリは8月24日ロージャスアメリカーナで1380レアルの買い物をしていません・・・・」 
 僕が外国人だからゆっくり話してくれと頼むと、ゆっくりと丁寧にわかりやすく発音してくれた。しかし、その優しさが逆に僕を少し不安にさせた。というのは普通カード会社のオペレーターなどは忙しいのでそんなに時間をかけてやさしく一人の客につきあってくれない。面倒くさくなると、すぐたらい回しにする。しかし、危なくカードを不正使用されそうなところを助けてくれたという感謝一杯で、そんな心配はすぐに消えさった。
「それじゃー、確認のためにカードの番号と暗証番号を教えてもらえますか」
暗証番号を教えてしまったら、それこそ丸裸状態ではないか・・・、チラリと不安になる。だまってしまった僕に、考える隙を与えないかのように
「誰が使ったのか調査するために必要なのです」タイミングよくつっこんでくる。助けてくれたのに信用できないなんて言えなかった。つい日本人らしさ気の弱さが出てしまい、カード番号、暗証番号を言ってしまった。それでも、まだ彼女のことを信じていた。
「じゃー住所を確認させてください。プラサ・・・・・」
その通りだった。僕の住所を知っていると言う事はカード会社の人間なのだろう。ちょっと安心した。
「それでは、モトボーイ(バイク便)があなたのアパートに行きますから、カードと署名した紙を封筒に入れて渡してください。20分くらいしたらまた私の方から電話します。念のために携帯の電話番号を教えてください」
「え、何でカードがいるの?」
「カードがあった方がデーターを調べやすいからですよ」
「なんでモトボーイがわざわざ取りに来るの?」
「警察と連携して犯人を追っているので急ぐ必要があるのです」
「他に何か質問は」
「ないよ」
「じゃあまたのちほど」
「またあとで!」
 普通、音がくぐもっていて何十人もの人が働いているざわめきがかすかに聞こえるのに、受話器から聞こえてくるのはざわめきなどなく、少し遠くで、もう一人の女性が電話で話している様子を感じた。何故かそんな様子が手に取るように解ったし、気にかかった。
 心配になり、日系人の友人に電話をして今あった電話について話した。
「そりゃおかしいよ。だいたいカード会社の人間が暗証番号をきくはずがないし、カードを取りにくるはずないよ! 普通は、ハサミできって処分してくれ、というのが普通だよ」
 それを聞いて、自分のアホさが恥ずかしくなった。普段、人一倍気を付けているつもりだったのにあっさりだまされてしまった。「オレオレ詐欺」でだまされてしまった人の気持ちが初めて解った。初めに強い衝撃的な事を言われると、冷静に考えることができなくなり、相手を信用してしまいつい言われるままにしてしまったのだ。
 カードのキャンセルをしてもらうために、慌てて息子の住むアパートに行く。とにかく急がないと、ネットで使用されてしまう可能性がある。ところがなかなかキャンセルができない。カード会社の人間は面倒くさい仕事はたらい回しにしようとするのだ。なかなかうまくキャンセルをすることができない。
 ちょうどその時、携帯電話がなった。
電話にでるとさっきの女からだった。
「どうして家にいないの! 」声のトーンから、いらついているが解った。
「ポ語を喋れる息子の所にきているのだよ。息子と話してよ」そう言って息子に替わって説明を聞かせた。
「ちゃんとカード会社の電話番号もしっていたよ」
と言いながら息子が僕に電話を再び渡してきた。
「もう少ししたらモトボーイが行くから書類とカードを渡してください」
彼女はまだ僕が騙されておもっているのだ。
僕もここでヘタな事を喋ってネット販売でカードを使われては困るので、だまされているふりをしつづけ電話を切った。とにかくカードをキャンセルすることが肝心だ。イライラしながらカード会社と息子のやりとりを聞いていた
 そこへインターフォンがかかってきた。
息子が出ると、モトボーイが来ているとのことであった。
「まだ用意ができてないから」といってそのまま切った。
キャンセル作業は4回たらいまわしにされたあげくやっとキャンセルができた。
自分がカジサコだとは名乗るつもりはなかったが、モトボーイがいたら写真をとってやろうと思い下におりたが、モトボーイは既にいなかった。
 家に帰って、ネットでカード会社のサイトに入って調べてみると、なんとキャンセルされていないではないか。慌てて再びアパートに行ってカード会社に電話をしてもらいキャンセルしてもらった。なんて杜撰なカード会社! 友人に電話するとカードが使われていないかどうか、電話で知ることができると聞き、電話で確認すると使われていないことが解った。やっと一安心である。
 サンパウロは外にいると強盗が怖いし、家でも詐欺電話やメールがある。まったく気の休まる所がない。なんでもまず疑ってかからないといけない。サンパウロは本当に疲れる町である。とにかく今日は精神的に疲れた1日であった。
 おそらく僕のデーターが盗まれたのは、息子の携帯を、カードを使って分割払でかったロージャスアメリカーナだろう。内部の人間が盗んだのだと思う。

旅行中にしろ、住居中にしろ、ブラジルでのカード使用はできるだけやめましょう!!


 


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