9・16抜歯 (2015/09/16)
2年ほどまえに奥歯が割れて、スイカの種が入るほどの大きな穴があいていた。触るとグラグラしている。かかりつけの歯医者に相談したところ、「無理に抜く必要はないですけど、いつか自然に抜けるでしょう。膿がたまって痛くなる可能性もありますから、抜いていた方が良いは良いですね」 という話だったので、しばらくずっとそのままにしておいた。確実に穴が広がっているのが解った。ご飯粒がはいるか入らないかの大きさだった穴が、いまやスイカの種が余裕で入るようになってしまったのだから。 10月に長期の旅行にでることになったので抜くことに決めた。旅先で歯痛に悩まされるなんてたまったもんじゃないし、知人の医者に見てもらうよりずっと高いだろう。そういう訳で抜歯に踏み切ったのだ。 3日前から化のう止めの薬を飲むように言われ、抜歯の用意をした。そして今日が抜歯である。 抜く歯の周辺の歯茎に数回麻酔をうたれる。注射は大の苦手なので、針をみないようにしっかりと目をつぶっているうちに、数回の注射は終わった。 抜きやすいように歯茎を少し切り、ペンチのようなもので、ぐりぐり引っ張り抜く。先生が力を入れている時に、他の女医が廊下から声をかけてきた。日本では信じられないこと(たぶん)であるが、ここはブラジルである。手術中にも平気でおしゃべりをするようなレベルの低い医者が多い国だからしょうがない。話しかけることを許すこの医者も悪いのだが、いつも僕がかかっているこの医者は、本当に気の良い先生で無理な値段を吹っかけてくることもない。むしろ良心的で安い。治療中よっぽど文句を言おうかと、思ったがやめた。あの女医を批難したら、結局この医者も非難しなければならない。できればよい関係を続けたかった。気を静め、じっと治療が終えるのをまった。 抜いた歯は思った以上に大きくて驚いた。ほおっておいても自然に抜けることが解ってはいたが、抜かれると少々辛かった。また僕の体の一部が失われた。今後死ぬまでに、少しずつ少しずつ身体からいろんなモノが失われていくのであろう。そう考えるとなんともく寂しくなった。
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