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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・27 帰国

10・27 帰国 (2015/10/26) 突然目が覚めて時計を見ると、いつも散歩に行く時間の6時から20分も過ぎている。あ~あ、昨日も散歩に出ることができなかった。がっかりだ。窓の外を見ると、まだ少しうすぐらい。しかし、なんか変である。ふと気が付いた。もしかして今は夕の6時??? 窓の外をよく見ると、西の曇り空にうっすらと太陽が見えていた。夕の6時だと気が付いた。
 時差ボケで3時くらいから急激な眠気に襲われてついつい寝てしまったことをぼんやり思い出した。それにしても、朝と夕とを勘違いするとは! それだけぐっすり眠りこんだと言うことか。
 昨晩、日本からブラジルに着いたのは夕の6時だった。今回の旅行は2年ぶりということもあり、ついついいろんなモノを買い過ぎてしまい、税関の通過が非常に心配であった。大きな買い物は据え置き用のハイスペック省スペースPCとカメラ、そしてレンズ1本。通関でひっかかると、100%の税がかけられるだけに冷や冷やものであった。
 PCにはノリで埃を付着させたり、シールを貼ったり、新品に見えないように手を加えた。しかし、機内持ち込み用のバッグに入れて運んでいるうちに埃がどんどん落ちてしまった。シールもなんとなくわざとらしいし、もし捕まったら新品と疑われてしまう可能性は十分ある。カメラは、古いボロボロのレンズとストラップをつけて古いモノに見せかけたが、注意してみると、新品とばれるだろう。レンズは中古で買ったが、日本の中古は質が良いのでブラジル人がみたら新品だと思うかもしれない。これはバンドにつけた小さなバックに入れて背側に回した。と、いろいろ対策を練ってきた。
どれも結構高価なものなので、もし通関で課税されたらもう悲惨としかいいようがない。最初から所持品を通告すれば、税金は買値の50%になるらしい。それでも僕には支払うのは無理だった。一発にかけるしかなかった。
やっと流れてきた荷物を受け取り、出口に向かう。出口間際に、通関があり、そこで職員が人や荷物を見て、気にかかる人間が来ると左の税関室に向かわせる。ドキドキするかと思っていたら、意外に冷静な自分に驚いた。カッとするとすぐ我を忘れてしまうタイプの人間だけに冷静にいられることが不思議だった。その場になれば結構腹が据わるタイプの人間なのかもしれない。そんな自分に改めて気づく。
ちょうど2人前の中国人らしき青年が大きなスーツケースバッグの多めの荷物を運んでいた。それを見咎めた係員が左に行けと合図を送った。青年がその指示に従い左に行こうとしたところに、係員が何故か「何処から来たのだ」と問いかけた。青年が「アブダビ」と答えると係員はさらに2言、3言、尋ね始めた。これはチャンスだ! しかし前のおばさんが動こうとしない。心の中で「早く行け! このバカタレ」と怒鳴る。数秒の間をおいてやっとおばさんがゆっくり動き出した。すぐ動き出したいのをじっと我慢し、ジリジリしながら後に続く。青年と係員が話しているすぐ横を冷や冷やしながら通り過ぎる。やった! ゴール!! 無事通過!!! 急に視界が広がった。
しかし、まだもうひとつの難関が待ち受けている。空港からサンパウロの町までの間で襲われる可能性があるのだ。1人の男が僕の荷物を値踏みするような視線をさっと送ってきたのに気が付いた。テレビなどの情報によると、到着する人を待つ振りをして所持している荷物を見て、外にいる共犯に支持を送る人間がいるらしい。今回の僕の荷物は中型スーツケースにボロのズタ袋だからどうみても高価なモノを持っている様には見えない。それでもバスにするかタクシーにするか数秒迷った。狙われる心配が少ないバスにしようかと思ったが、24時間以上の飛行機の旅であまりにも身体が疲れていた。そんな状態ではバスからタクシーへの乗り継ぎが怖い。結局、より楽なタクシーを選んだ。
幸運なことにタクシーの運転手はカタコトの日本語を話す日系2世であった。彼によると、最近の通関は結構厳しいようだった。無事ひっかからずに通り抜けることができた、と言うと、「それはラッキーだったね」と言ってくれた。
今回の旅は、やりたいことはすべてで行うことができ、無理だと思われたものを最後の最後に買うことができ、その上通関も無事であった。最初から最後までうまくいった旅であった。
ちなみに、今まで10回以上日本ブラジルを往復しているが、その間通関で捕まったことが1回ある。そのときも課税はされなかった。運がいいというか悪運がつよいというか、まったくありがたことである。深く感謝!


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