10・29 不景気 (2015/10/28)
サンパウロに着いて最初に感じたのは、町が沈んでいる、ということであった。到着したのが夕方ということもあったかもしれないが、それ以上に街に活気が感じられなかった。 メルカードの魚屋に行くと、僕の顔をみるなり、売り子の兄ちゃんが「今日の入荷はイワシしかないよ」と言った。ケースを見てもあまり魚がない。 友人のオーナーに「どうして少ないの?」と聞くと、 「不景気で、客が魚を買わなくなってめっきり売上が減って、仕入れを減らしたこともあるけれど、最近、禁漁の魚が増えたことも影響しているよ」という答えが返ってきた。1か月前にくらべメルカード全体に気だるい雰囲気が漂っているように感じられるが、特に魚のボックスが並ぶ所はひどく寂れてしまった感じさえする。最近でこそブラジル人は健康志向から魚を食べるようになったが、ここまで不景気になると、魚は牛、鶏、豚の次になってしまうのだろう。魚屋でイワシを購入した後、肉屋にも寄ったが売り上げは少し落ちた程度だと言っていたので、やはり、その通りなのだろう。僕自身にしても、以前はアジやカツオなど刺身用の魚とさらにイワシを買っていたのに、最近は一番安いイワシや小蛸しか買わなくなった。毎日魚を食べる僕でさえ、量を減らし安い魚しか購入しなくなったのだから、ましてや普段あまり魚を食べないブラジル人は買いもしなくなるだろう。 久しぶりに図書館に行って本の貸し出し係のおじさんに最近の様子について聞いてみた。 「政治が不安で先が見えないし、不景気なんで皆お金を使わないようにしているよね。例年だと、今ぐらいから年末に向けて、商店は雇用を増やすんだけれど今年は増やすどころか首切りをしている所も多いらしいよ」 思っていた以上に景気の落ち込みは深刻になっているようである。今後どうなるのであろう? ちょっと心配になってきた
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