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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
11・12 悪い癖 [画像を表示]

11・12 悪い癖 (2015/11/12)  セ広場で、写真を何枚か撮っていると、
「あなたは仕事で撮っているんですか? 趣味ですか? 自分はジャーナリスト科で勉強していて・・・。ちょっと話がしたいんですが」
 一眼レフを首にかけて、ぶらぶらしていた小太りの青年が話しかけてきた。
 ちょうどそのとき、教会や広場の風景を撮る振りをして、お目当てのトロッカ・トロッカ(物々交換のような意)の集団を撮っていたのでイラッとさせられた。
 トロッカ・トロッカの集団はセ広場などセントロのいろんな所に出現する。中には盗難品を売る強盗や泥棒がいて写真を撮っていることがわかると危ない。さっさとそんな場所は立ち去りたかった。そんなときに、カメラを首から下げてぶらんぶらんしている青年から、間延びした声で話しかけられたから少しむっとしたのだ。周囲を見ると、彼の様にカメラを首にかけた学生が数人いる。セ広場はサンパウロでもコソ泥やひったくりの多い危険な場所のひとつとされていて、夜7時以降は歩かない方が良い、と言われているような危険な場所だ。
 それでも、なんとか気持ちを入れ替えて話をしようとしたが難しかった。ついつい冷たい言い方になってしまった。
「それで何が聞きたいの。こんな危ない所で、カメラは出しておかない方がいいよ」
 僕の冷たいトゲのある言い方に彼は黙ってしまった。とっと立ち去りたかったので「気を付けてね」と言い残してその場を去った。
 ブラジル人はプロであろうが、アマであろうが、何故か一眼レフを首にかけて歩きたがる。プロらしき人間は、撮影用のチョッキを着てレンズを入れ誇らしげに歩いている。本当にそれだけレンズを使うのだろうか? たくさんの備品を持ち歩くとそれだけ動きが制限されるし、強盗に狙われる可能性が高くなると思うのだが・・・。普段僕が街歩きには持っていくものは、せいぜい1台の一眼レフにミラーレスカメラ、レンズ1本である。カバンは軍隊用のカバンにインナーを入れたもので、中にカメラが入っているようには見えない。僕はできるだけ目立たない恰好にし、写真を撮ったら即カバンに入れるように心がけているのだが、ブラジル人は違うようだ。日系人の友達言うには「ブラジル人は、自分がカメラマンだということを人に見せつけたいから、カメラを首にかけて持ち歩くんだよ。ブラジル人は格好つけるのが好きだからね」とのことだった。
 その場を去って、もう少し優しく話してあげればよかった、と反省したが、後悔先に立たずである。人に素っ気ないのは気紛れな僕の悪い癖であるが、修正するのはなかなか難しい。

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セ広場のトロッカ・トロッカの集団


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