11・29 移民デモ (2015/11/29)
窓の外が騒がしい。スペイン語特有の語尾あがり巻き舌言葉が聞こえる。ベッドで寝ながら読んでいた本を脇に置き、窓の外を見ると、横断幕をあげた数百人の行進が行われていた。慌ててカメラの用意をしてアパートを出た。 僕のアパートある議会前ではさまざまな抗議デモが行われる。そういう写真を撮りたい僕にはまさに最適の立地条件といえる。なにしろ、抗議運動があればエレベーターを降りて行きさえすればよいのだから。 しかし、ときには議会前の道路を封鎖し居座って1日中ガンガンにボリュームをあげてがなり立てたり、ディスコ音楽をながしたりするデモ隊もいる。抗議に集まった人々は閑にあかしてサッカー応援の鳴り物を1日中ならしたり・・・。煩い。本当にうるさい。仕事をしている時はいらいらさせられて、それこそ生卵でも投げてやろうかと思うほどである。まあ、写真を撮らせてもらったことを考えると我慢もしなければならないが・・・。しかし、うるさい! 下に降りて行くと、アンデス地方の人々の顔が多い。どうやら今日の抗議行進は近隣諸国からの移民や出稼ぎにきた人々の行進らしい。拡声器から流れる話を聴いていると、移民や出稼ぎ人の人権の尊重、治安の向上などを訴えているようであった。南米諸国の人々だけでなく、コンゴ、カメルーン、ナイジェリアなどの国旗を下げたアフリカ人も多い。ワールドカップ前に一時的に経済がよくなったように見えたブラジルに出稼ぎにきた人々だ。 不法滞在の人が多いから襲われても警察に訴えることもできないし、銀行の口座をもつこともできずタンス預金をもっているので狙われやすい。さらに職が失ったのは移民たちのせいだ、と八つ当たりで襲ってくるブラジル人たちもいる。今のサンパウロはかれらにとっても、僕にとっても本当にすみづらい。 数か月前のニュースで、取材された、路上販売を行っていたアフリカ人が「ブラジルは祖国よりはましさ、もっと稼いで家族を呼びたい」と言っていたが、数か月前より明らかに景気は悪くなっている。可能なブラジル人は、アメリカやヨーロッパにどんどん移住しているという話を聞く。あの取材を受けたアフリカ人は今も希望を持って仕事に励んでいるのだろうか?
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