犬も歳をとると人恋しくなるのか、今までさほど甘えてくることがなかった雄犬が、煩く甘えてくるようになった。雄犬ニンジャは雌犬アズミに比べると臭いし、毛もごわごわしているのであまり抱く気にならないが、僕の方針は、２匹の犬たちを平等に可愛がり、平等に食べ物を与えることにしているから、同じようにしないわけにはいかない。 　犬たちもそのことを知っていて雌犬を抱いてかわいがっていると、雄犬は自分も可愛がってもらえると思いじっと待っているし、１匹に食べ物をやると、もう１匹も、もらえるものと思い取り合いをせずに待っている。常に平等に扱ってきたことで、うちに来る前から性格的にひねくれていた雄犬も正常になってきたように思う。 　家で仕事することが多くなり犬たちと一緒にいる時間が長くなってきた。半日も家を空けて家にかえると、「寂しかったよ～」と言う風に、２匹とも鳴きながら大喜びをする。犬と言えどもあまりベタベタされるのは好きではないが、あまりに喜んでくれるので抱いてやる。 ２匹とも10歳を越えた。白い毛が増えた２匹を見ていると歳をとったと思う。僕が歳をとるわけである。 若く見えた雌犬アズミも、この頃はめっきり老けた

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