移民百年祭 Site map 移民史 翻訳
南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
7・26 焼きトウモロコシ

7・26 焼きトウモロコシ (2016/07/26)  いつものオジさんから果物を買っていると、ちょうど前でおばさんがともろこしを焼いて売っていた。このあたりは見る目に少々汚いごっちゃりした雰囲気があり、あまり一般の人は買いにこない。僕は昔からこういうごっちゃり感が好きで、写真を撮ったり、見て周っている。
 おじさんの知り合いのようだから、写真を撮ることを許してくれるだろう、と見越し、許可を願った。予想通り、いいわよ、とあっさり許可してくれた。
生から焼いていたので、固くないか? と聞いてみた。
「固くないわよ。食べてみる?」
 あまり路上での買い食いはしないのでとまどった。
「まあ食べてみてよ。実際にたべてみなきゃ、わからないわ。さー、とって」
「じゃー、お金払うよ」
 そういってお金を払おうとしても、彼女はいくら言ってもお金を受け取ってくれなかった。1レアルでも多く取ろうとする、このせせこましい世の中に、こんなおばさんがいるなんて、感激であった。
「ノルデスチ(東北伯)のレシフェからきてもう40年よ。ずっとこの辺で暮らしているの」
 遠い昔を見るような目つきでおばさんが言った。
 炭の上の網の上で、3個のとうもろこしが少し黒くなっていた。脇にはサランラップに包まれたとうもろこしが5個ほどある。もらった焼きとうもろこしは、おもった以上に柔らかくおいしかった。塩を一振りすれば、もっとおいしくなるだろう。
 今度来た時には買おう、そう思いながら「おいしかったよ! 本当にどうもありがとう」そう言うと、そうだろう、そうだろう、という顔でおばさんがにっこりわらった。かすかに、ノルデステの匂いがしたような気がした


前のページへ / 上へ / 次のページへ

楮佐古晶章 :  
E-mail: Click here
© Copyright 2024 楮佐古晶章. All rights reserved.