7・26 焼きトウモロコシ (2016/07/26)
いつものオジさんから果物を買っていると、ちょうど前でおばさんがともろこしを焼いて売っていた。このあたりは見る目に少々汚いごっちゃりした雰囲気があり、あまり一般の人は買いにこない。僕は昔からこういうごっちゃり感が好きで、写真を撮ったり、見て周っている。 おじさんの知り合いのようだから、写真を撮ることを許してくれるだろう、と見越し、許可を願った。予想通り、いいわよ、とあっさり許可してくれた。 生から焼いていたので、固くないか? と聞いてみた。 「固くないわよ。食べてみる?」 あまり路上での買い食いはしないのでとまどった。 「まあ食べてみてよ。実際にたべてみなきゃ、わからないわ。さー、とって」 「じゃー、お金払うよ」 そういってお金を払おうとしても、彼女はいくら言ってもお金を受け取ってくれなかった。1レアルでも多く取ろうとする、このせせこましい世の中に、こんなおばさんがいるなんて、感激であった。 「ノルデスチ(東北伯)のレシフェからきてもう40年よ。ずっとこの辺で暮らしているの」 遠い昔を見るような目つきでおばさんが言った。 炭の上の網の上で、3個のとうもろこしが少し黒くなっていた。脇にはサランラップに包まれたとうもろこしが5個ほどある。もらった焼きとうもろこしは、おもった以上に柔らかくおいしかった。塩を一振りすれば、もっとおいしくなるだろう。 今度来た時には買おう、そう思いながら「おいしかったよ! 本当にどうもありがとう」そう言うと、そうだろう、そうだろう、という顔でおばさんがにっこりわらった。かすかに、ノルデステの匂いがしたような気がした
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