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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
9・7 子供たちの憂鬱 [画像を表示]

9・7 子供たちの憂鬱 (2016/09/06) よく、エレベーターで乗り合わせる、保育園に通う女児とエレベーター前はちあわせた。普段は、女児を預かっているおばさんが一緒なので直接話こともなかったが、今日は一人であった。
このごろ、サンパウロでは幼児ポルノなど楽しむ大人や誘拐犯が増え、親は極度の注意を払っている。だから、子供の写真を撮るときは親にきちんと許可を得ないと通報されたりして危ない。そんなこともあり、よっぽどのことがない限り子供の写真は撮らないし、関係をもたない。もともと子供は苦手であるし、話しかけてこない限りは話さない。
女児はさっさとエレベーターに乗り込むと自分の降りる階を押すと、僕の階を押してくれようとしたのか「何階?」と聞いてきた。僕の顔を覚え知っているような感じである。「22階」というと、一瞬顔を輝かせ「へえ~」というような顔をしてボタンを教えてくれた。高い階に行ってみたいのだろう。普段いるおばさんがいないので、どうしたのか、聞いてみたくなった。
「今日は、おばさんは?」
「今日はいないの。それに最近はいつも一人が多いの。ママは仕事しているしね。ママと二人暮らしなの」大人びた声で、独り言をつぶやくように言った。
今日はおばさんが何かの用事で迎えに行けなかったのだろう。アパートの前でスクールバスを降りて一人でアパートに帰ってきたようだった。
ブラジルは離婚率がびっくりするほど高いので、おそらく母親は父親と別れ一人でこの子を育てているのだろう。そういえば、顔はまったく覚えていないが、一度母親ともエレベーターに乗り合わせたような気がする。
「ふ~ん、そうなの。変な大人が多いから気を付けないといけないよ!」
そう言ったところで、彼女の降りる7階にきた。重い扉を一人でなかなか開けられないようだったので手助けをして「それじゃーね」と言って別れた。
10数年ほど前に、日本に帰国した際に、公園で子供たちが遊んでいないのを見て不思議に思ったことがある。姉に聞くと「最近変な大人がいるから、大人がみていないと危なくて子供たちを遊ばせれないのよ」と言われてびっくりした覚えがある。地方の高知である。今はどうなのだろう。僕が子供の時は、日が暮れるまで公園で遊んでいたものだが。

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子供たちにとっても生活しづらい社会になった


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