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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・8 「ブラジルのアフリカ人」に向けて [画像を表示]

10・8 「ブラジルのアフリカ人」に向けて (2016/10/07) リベルダージ下のグリセリオ付近に足を延ばしてみる。グリセリオは僕の中では危険地区なので、普段はグロリア通りから下にはあまり行かないのだが、「ブラジルのアフリカ人(仮題)」について書きたくて、アフリカ人やハイチ人がたくさん住んでいると言われるグリセリオに行く気になったのだ。普段歩かないところだけに、勝手がわからない。高架下あたりは、以前フェイラ(青空市)に写真を撮りに行ったことがある。フェイラ周辺が路上生活者の巣のようになり、朝から麻薬の吸引者がたむろっていて驚いた。そのとき身の危険を感じたので、今日は、もうちょっと安全そうなサンジョアキンよりの通りから降りていく。何も知らない危ない場所では、カメラは持ってはいくものの絶対カバンから出さないので、もちろん写真も撮らない。
 犬を散歩する老女がいたり、子供たちがきゃっきゃっと騒ぎながら歩いていたり、危なそうな感じはない。おそらく、歩いている通りより1,2本行ったところは、ゴミ収集人のゴミ置き場やスクラップ場があり、路上生活者が多く住んでいるだろう。以前来た時、迷い込んでドキドキした記憶がある。
 そんなことを思い出しながら歩いていると、数年前にこの辺をバスで通り過ぎたことを思い出した。その時、一緒だった友人が、「この辺はヘタに歩くと持ち物全部はがされるぞ」という忠告してくれたことを思い出した。おそらく今はもっと危なくなっているだろう。車ならともかく一人歩き、しかも、この辺で普段見ない奴となると、狙われる可能性は大きい。
 こういう住宅地としては、異常にたくさんあるバールでは、まだ夕方の4時だというのに、男たちが道路に置いた白いプラスチックのテーブルに座ってビールを飲んでいて、どのバールも結構人がいる。いくら金曜日と言えどもちょっと普通ではない。セントロではバールの客が増えるのは会社が終わる6時以降である。彼らは働いていないようだ。この地域はペンソン(安い部屋貸し)や安ホテルが多いので、そこの住人達だろう。見る限りでは、ブラジル人ばかりでアフリカ人やハイチ人らしい黒人は見当たらない。もっと高架よりか、下の通りに住んでいるような感じがする。
今日は最初だし、カメラを2台ももっているので、これ以上踏み込むのはやめた方がよさそうである。自分自身がへっぴり腰状態ではどうにもならない。かといって、あまりに大胆になりすぎるのも禁物であるが・・・。人の住処を見る、なんていうのは住人にとって失礼千万の話である。それはよく解っているのでジロジロ見るようなことはしないつもりである。自分の中に、ここの雰囲気つけたいのと、できればアフリカ人と知り合いになりたかった。コーディネーター付きの資金豊富なカメラマンでもないし、別に、急ぐことでもないので、徐々に地理感をつけて自分自身を慣らし雰囲気に溶け込んでいこうと思っている。

リベルダージまで帰ってほっとして歩いていると、小さな子供を連れた中国人男がアイスクリームを舐め舐め歩いてきた。そのときポイとアイスクリームの袋を捨てた。何の迷いも意識も感じないごくごく普通の行動である。その時、後ろからきたブラジル人の青年が、むっとしたように袋を拾った。僕は彼が何をしているのか解らなかった。「ポルコ」怒気を含んだ声で、前を行く中国人親子に投げつけた。そして袋をすぐ近くにゴミ箱に捨てた。このときやっと、青年が、中国人のポイ捨てに怒っていることが解った。実は最初、ボーッとしていたために、視覚の中に中国男がポイ捨てしたことはあったのだが、気が付かなかったのだ。それくらい、中国男のポイ捨ては一連の動きで違和感がなかった。おそらくこの男は全く罪の意識を全く感じていないのだろう。きっと中国ではいつもポイ捨てをしてきたのだ。おそらく、それが中国ではごく普通の行動なのだ。そんな父親に育てられた子供は、ポイ捨ては普通になるだろうし、汚いのを汚いとも感じない子供になるだろう。一般の多くのブラジル人は綺麗好きで、シャワーも毎日浴びるし、部屋も驚くほどきれいにしている。そんな綺麗好きなブラジル人には、海外からやってきた道徳観のない中国人が、自分たちの国を汚すのに耐えられないのだろう。中国人親子は何も気が付いてないようすで歩いていってしまった。ポ語も理解できないようだ。
この国に流れてきた外国人がどんな暮らしをしているのか、ブラジル人が彼らとどのように接しているのかますます興味が沸いてきた。

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橋からしたがグリセリオ


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