10・2 子供の日前 (2016/10/11)
子供の日に、おもちゃなどの送りものをするのが、ブラジルでの習慣である。今年は経済危機ということもあり、問屋街25デマルソに、おもちゃを探し求める親たちが溢れた。 人の波を撮っていると、「なんで写真を撮っているんだ。警察に連れていくぞ」と突然言ってきた半黒の男がいた。服装は汚く、顔もすさんでいる。店を撮っているわけでもなく、ある人を集中して撮っているわけでもない。あくまでも撮っているのは人の波、それも屋外である。 その言い草にむっとして、「お前を撮っているわけではない。そんなことを言われる筋合いはない。じゃあ、行こう警察のところに!」すぐ近くに警察がいることを初めから知っていて写真を撮っていたのである。この街が危ないことは十分知っていた。毎日セントロを撮り歩いているので、警官の位置は常に把握している癖がついていた。セントロでは一見のカメラマンではない。この男は強い言葉で警察に行くと脅したら、僕がビビルと思ったのか? セントロで写真を撮っていて今までもさんざん脅しや嫌がらせを受けていたから、だいたいの対処法は頭に入っていた。警官のところに行って訳を話すと、警官は男を睨み付けた。男は捨てせりふを吐いて去っていった。ただ警官も決してぼくに協力的ではなく、「カメラをもっていかれてもいいのか!」とちょっとむっとしたように言ってきた。この言葉を聞いて説明するのも億劫になり、その場を去る。あまりに人が一杯で、説明を聞く暇もないのだろう。この街では警官が決して進んで助けてくれるような存在ではないということも知っていた。 あとで、近くのメルカードの友人と話をすると「PCC(麻薬組織)の組員だったかもわからないよ。あまり言い返したりしない方がいい。黙って警察のところにいくのが一番だよ」と言われる。 体力も気も弱いのに、頭に血が上りやすくカッとなるとすべてを忘れてしまうようなところがある。自分から言うことはないが、激しく言い返すことはよくあることである。それはいつも反省しているところである。冷静に、冷静に、と言い聞かせているのではあるが、なかなかうまくいかない。生まれ故郷、高知の血か? カッとして、思いもよらぬ方向に進んでしまうことがしばしばある。もう、いい年なのだから、冷静に行動できるようにならなくては!
 | 街の入り口の坂。こうやって撮っている時も危ない。周囲はスリだらけ |
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