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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・22 損して得取れ

10・22 損して得取れ (2016/10/22)  昨日は、来ると約束していた水漏り修理人が来なかった。おとついは取ると言っていた浴槽も取らないで大丈夫だと言いだしていた。しかし、見積もりの段階では取ることになっていた。できれば古い浴槽は気に入っていたので取らないでもよいか・・・、とそのときはぼんやり考え何も言わなかった。しかし、あとで考えると、浴槽を取る仕事も見積もりの中に入っていて大きな割合を占めていることに気が付いた。それなら割引をするべきであることに気が付いた。
 僕も客商売をするので値引きを頼まれると困ってしまう。ギリギリの値段しか出していないからである。そんなこともあり、今回の仕事には、値引きを一切しなかった。もともと値切るのは苦手なのだ。友人に聞くと、「修理などは値段があってないに等しいものだから、交渉しないと損をするよ。もともと値引きをすることを考えて上マシされているから」と言われた。それでも、言われるままの値段を受けた。ところがこのありさまである。
治すのに10日間以上かかる、というのも真っ赤な嘘で、うちのアパートでの修理時間はわずか1日、下階では2日も修理仕事をしていない。それでも、なんとか許す方向に頭を向けたのだが、考えれば考えるほど腹が立ってしょうがなかった。さらに、約束の日にこなかったので、その日は寝つきが悪くなるほどカッカした。もともと僕は高血圧でメニエル病(三半規管の病気)持ちであるから、ストレスが溜まることはできるだけ普段からさけるようにしている。もし、目まいがして動けなくなったら1か月以上働けなくなるから仕事どころでなくなってしまう。
いつもの起床時間5時には目が覚めメールの確認、返信などをしていると6時40分で終わってしまった。オルガニック市にいく7時にはまだ早い。しかし、家にいると、つい、修理のことを考えてしまうので、出かけることにした。
いつも話をする、日系人の野菜売りのおじさんに一通り話した。少しでも頭を冷やすためと、こういうブラジル人相手にはどういう風に対処するのが一番よいか意見を聞きたかったのだ。普段、友人は日系人か日本人だし、仕事でかかわるブラジル人もどちらかと言えばお金持ちが多いからから、この手の人間に仕事を頼むのはめったになかったからである。
「昔、うちに納屋を建てるのに、友達の職人を頼んで、週給でお金を払っていたんだ。初めの要求金額を払い終わっても、まだ完成できなくってね。結局、完成しないままでその友達はこなくなったよ。でも、何もしなかった」と笑った。
「えっ!!」
「日本の言葉に、損して得取れ、っていう言葉があるでしょ。ブラジルじゃ、裁判にしてもお金がかかるし、結局損をしてしまう。あまり問詰めると、その職人が知り合いをけしかけていやがらせをしたりすることもあるしね。怪我でもしたら大損だ。結局なにもしなかったよ。よく、ブラジル人を同じ人間と思っちゃだめだ、と昔の日本人は言ったよね。なんでも適当だから、日本人と同じ感覚でつきあっていて、それにいちいち腹をたててたら、こちらが病気になるよ」
 それは結局泣き寝入りではないか! と思ったが、言っていることには一理ある。
僕の関わっている人達は、たいていきっちりとしたことをする人ばかりで、適当であやふやな仕事をする人はめったにいない。それだけにこの修理人の適当さには腹が立ったが、ブラジル人の皆が皆そういう訳でもないことは確かだ。むしろ大多数は自分で責任をもちたくないし、適当だ。話していて大分頭が冷えてきた。ことを大きくすれば、相手も損をするかもしれないが、僕もますますお金はかかる可能性は大である。
「水が漏らなくなっているのなら、そこで手を打った方がいいと思うけどね。もし、すぐ水が漏ったら、また修理させればいいだけだよ。頭に血が上っているときに話すのは損をするだけだから、それは避けるべきだよ」
「・・・・」
 僕の悪い癖で、かっとして、すぐ言葉に出して相手も怒らせる。ここは日本じゃないので完ぺきは目指せないのだ。もちろん100%目指せないことはないのだが、それだけの金と時間が必要となる。


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