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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
12・1 稼いだお金 [画像を表示]

12・1 稼いだお金 (2016/11/30) モエマ地区でバスが、停留所に止まった。窓の外を、顔に力を漲らせた30歳ほどの黒人系女性が、小型の乳母車にカバンや小箱を一杯載せて走っていた。どうやらこのバスに乗り込むつもりらしい。荷物を載せた乳母車をおしていることからも、その服装からも、路上生活者だと解った。しばらくして、僕が居る近くのドアが開いて、さっきの女性が入り込んできた。
このバスは、巨大な2連結式のバスで最近は2連結どころか3連結バスが増えてきた。まるで、「風の谷のナオシカ」にでてくる巨大なオームのようなバスが、通勤時間には人を満載して走る。バスターミナルで巨大なバスが並んでいる姿を見ると壮観でさえある。ぼーっと窓の外を見ていると、さっきの女性が乳母車から、デイパックを下ろして座り込もうとしているのが目の端に入った。毎日セントロを歩いていると、180°以上の範囲にいる人間にも注意を払う癖がついしまったのだ。
女性は小さなポシェットから分厚いお金の束を取り出し数え始めた。アレッ、この女性は? 急に興味が沸いた。あまりジロジロみるのも失礼なので、横目でさらりと彼女を観察した。路上生活者にしては、身なりが汚れておらず小奇麗である。ポシェットも買ったばかりのもののようである。髪は今黒人系の人々の流行りであるつけ髪をしている。う~む、何をしている人なのだろう。少々下品な顔つきといい、乳母車といい、ほんの少し洒落たビーチサンダルといい、ぱっと見た目は路上生活者である。運転手に頼んでタダ乗りをしているということは、それに近い人であることは確かなようである
その間も、彼女は熱心にお金を数えていた。まず5レアル以上のお札を別に分け、そして大半を占める青い2レアル札をその後ろに置いて1枚1枚大切そうに数え始めた。一番大きなお札でも20レアルである。おそらく総計で150レアル(約4000円)ほどか。しかし、例え、バスの中でもお金を数えるなんてことは危ない。僕は怖くてできない。しかし彼女はまったく気にする様子もない。周囲の人は見て見ぬふりをして妙に冷たい雰囲気が漂っている。昼間働く普通の人で彼女からお金を奪おうなんて人はいないのかもしれない。
どうやってお金を稼いだのか解らない。もし、もらったにお金ならコインがほとんどだろうだし・・・・。娼婦なのか? 麻薬売人なのか? 中途半端な路上生活者っぽさが解らなかった。悪い方にばかり考えてしまったが、お菓子か何かを売り稼いだのかもしれない。
彼女からは、「自分で稼いだお金よ!」という感じの気高さが漂っていたのでもらったお金ではないと思う。

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バス最終駅はセントロのジョン・ペドロⅡターミナル。スリや強盗の多さではトップクラスの場所


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