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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
1・4 怠け者の多い修理屋

1・4 怠け者の多い修理屋 (2017/01/03)  砂やペンキで汚れた服をきた中年の男がせっせとエレベーター前を掃いていた。どこかのアパートを改修している男だろう。
 エレベーターが着くと、砂袋を乗せた手押し車を押して彼も乗り込んできた。乗るなり「まったくもうバカブンド(怠け者)ばかりなんだから!!」とぼやいた。
「どうせ酒かっくらって大麻吸ってるんだよ、まったく」彼のボヤキはとまらない。
 どうやら、雇っていたアジュダンテ(仕事手伝い)が来ないようだ。
「年初めだからしょうがないんじゃない」と慰めたが、よくあることらしい。
 こうした改修や修理作業をやる職人の多くは、コミュニダージ(貧民街)から安くアジュダンテを雇うのが定番である。彼ら職人も元をただせば、コミュニダージ出身が多く、アジュダンテから職人になった男が多いようだ。
 先日、僕が頼んだ職人もひどかった。高い金を要求し、やったことは、最初の見積もりとは違ったことをやった。それでも階下の水漏りは止まったので早々に手を引かせた。最初の約束通り、文句を言って続けさせることもできたとは思うが、腹が立って夜も寝つきがわるく、このままこんな男と関わっていたらますます血圧が高くなり、ただでさえ調子を崩している健康が再び悪くなりまた病になることを恐れたからである。ここは金のことを考えるよりも自分の健康のことを考えるべきだと思ったのだ。カッとしたら、キレて思わぬことを口走り、予想もつかぬ方向に進むことが今までもしばしばあった。そういうことを避けるためにも、半分泣き寝入りをすることになるが仕方なかった。聞くとこの男も、コミュニダージに住んでいるようだ。
 以前、何度もコミュニダージに撮影に行った。数か所しか行っていないので、行ったところに住む人がたまたまそうだったのかもしれないが、多くの男はバカブンドで女の尻ばかり追いかけていた。一緒に行ってもらったボランティアの人に話を聞くと、「何度も仕事を紹介したのだけれど、ちょこちょこ盗みをする人が多く、最終的には仕事を紹介することができなくなったの」と言って悲しそうな顔をした。友達になるのはいいのだが、仕事を頼んだり紹介したりすることはできるような人達ではないのである。
20代前半の男が40代の女性と結婚して、女は女中などをして働き、男はひがなブラブラしている、という光景が普通に見られた。同棲してはすぐ別れるので、5人いる子供すべての父親が違うという母親もいた。
当時、彼らをみていると、貧しい生活を強いられるのは、私利私欲まみれの腹黒政治家のせいだけとは決していえない思ったものである。


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