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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
1・31 Nao tem jeito(しょうがない)

1・31 Nao tem jeito(しょうがない) (2017/01/31) 昨日夕方、旅行から帰り、少し体が疲れていたが、食べ物がないのでしぶしぶメルカードに買い物に行く。未だに冷蔵庫を買っていないのであまり生ものを買うことはできない。それでも、マグロの尻尾とマナガツオを1キロ購入し、野菜を買う。卵を買うかどうか迷った。というのは、先週買った12個の卵のうち3個が、殻を割ると黄卵膜が敗れてどろどろと白身と黄味が一緒になって出たからだ。完全には、腐ってはいないが、かなり古くなっていたのだと思う。先々週買った卵もほとんどが古かった。さすがに2週こんな状態がつづくと買うのがいやになる。卵が古かったことの文句を、いつも買う卵売りのおばさんに言わなければならないから、そのことも卵屋に行くことを億劫にさせていたのだ。しかし、文句を言わないと、また古い卵を買うことになるだろうから、言うのは仕方がない。
「今日の卵新しい? 先週買った卵は3つも黄味が割れていたよ」
「最近暑いからね。冷蔵庫がないと大変だね」
 どうやら冷蔵庫がないせいだと思ったらしい。
「買って帰ってすぐ使った卵がそうだったから、もともと古かったんだよ」と言うと苦笑いした。
「生産者に文句を言った方がいいよ!」
「でもね、文句を言っても全然変わらないからしょうがないのよ」とおばさん。
Nao tem jeito(しょうがない)、はブラジル人がよく使う諦めの言葉である。1日1回以上は使っているのでは? と思うほど本当に良く使う。それだけ、ブラジルには思い通りにならないことが多いのだろう。
例えば、貧乏人の乗る車に跳ねられても、Nao tem jeitoである。相手は、もちろん保険などには入っていないし、払う金もない。訴えても、時間がかかりすぎ、弁護士代など多額のお金がかかる。勝ったとしても、相手はお金を払えないから損するだけである。ひどい時は逆恨みを買うことさえある。だから、多くのブラジル人はNao tem jeitoと言って諦める。
 以前は、政治家の汚職贈賄もNao tem jeitoと言って笑い話にしていた。政治家が私利私欲に走るのはNao tem jeitoだった。そうした国民の諦めが、ブラジルをどんどん悪くしたのだと思う。
 政治家の汚職贈賄額がどんどんエスカレートするにも関わらず、庶民の生活は悪くなる一方で、失業者が増えるばかりである。現在120万人以上の失業者が居ると言われている。ついに国民も政治家のやりたい放題に腹を据え金かね、数年まえからデモが行われるようになった。去年あたりから(もっと前から少しずつ捜査は行われていたのかもしれない)やっと政治家の汚職贈賄事件にも捜査のメスが入り、政治家が逮捕されるようになった。元大統領も贈賄事件で告訴されている状態である。そんな時に捜査を中心になって行っていたSTF(連邦最高裁判所)の人物が飛行機事故で死亡した。暗殺疑惑プンプンである。歴史的に見てもブラジルでは大統領を含め多くの政治家が暗殺されてきただけに怪しい。まるで劇画ゴルゴ13の世界である。


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