５・１３ 先行投資 (2017/05/12)
オルガニック市に行くと、いつも買う日系人のおじさんのボックスにたくさん人がいて、とても買えそうになかった。他のボックスを周って後でいくと、人が少なくなっていたので買うことにした。このおじさんの野菜は一切農薬のみでなく水さえも撒かない完全自然農法で作られている。農薬を使って栽培していた時に、兄弟が農薬のために病気になってしまい、農薬を止めて農業をつづけるか、農業を完全に止めるかの岐路に立ったそうだ。結局、農薬を止めて農業を続ける方を選んだそうである。最初の頃は、うまく栽培できず大変だったそうであるが、最近は栽培もうまくできるようになったそうである。完全自然農法のせいか、ただでさえ無農薬野菜は小さく、ねじれたような貧弱野菜が多いのに、このおじさんの栽培する野菜たちは市の中でももっとも貧弱であった。最近、そのおじさんのボックスで買う人が増えた。
「完全自然農法だということを宣伝しているのですか？」と尋ねると
「一切していないよ～。多分、他の所の野菜より味が濃くておいしんだろうね。それが口で伝わったみたい」間延びした感じでおじさんが言った
この市の中でも、完全自然農法はおじさんのところだけらしい。他のボックスが閑散としているときにも、このおじさんのボックスは人がいる。
「ブラジル人は味オンチが多いと、知人のレストランオーナーはよく言います
よ」
「ここの野菜は他のフェイラの野菜より高いから、ここに来るような人は、ある程度お金をもっていて高学歴の人が多いみたい。味もそこそこわかるんじゃないかな？」
確かに、ここのフェイラの野菜は通常のフェイラやスーパーで買うより、2～３倍ほど高い。それでも他で売っているオルガニック野菜より安いのではあるが、一般庶民は敬遠してこないようだ。僕もやっと生活しているような状態でだが、安い野菜を選んで買うようにしている。僕がオルガニック野菜を買う理由の一つは、病気になると、お金もかかるし、苦しまなければならない。そうならないための先行投資のつもりである。
|
