7・28 おじいさんの声 (2017/07/27)
今朝は少し早めの5時50分に散歩に出発したものの、ニンジャ(雄犬)が10回ほどもウンチング体制にはいり、結局いつもなみに遅くなってしまった。切れが悪いようで、小指の先っぽほどのモノを何度も出す状態である。何か悪いものを拾い食いしたのかもしれない。数か月に一度くらい、僕も同じ状態になることがあるので、ぐっと我慢したが、しまいにはイライラしてしまい「またか、もう~」と怒気を含んだ声がもれてしまった。ニンジャはウンチングスタイルで、すまなそうな顔で僕を見上げた。それでも、行きの道で、出し切ったのか、後半はびっくりするほどの速足で歩くことができた。 行きとはくらべものにならないくらいのスピードで快調に歩いているとバンカ(新聞・雑誌販売店)で、いつも出遭うおじいさんが背をかがめてバンカの端に吊るした新聞をみていた。以前はマリア像を担いで毎朝、毎朝、まるで修行者のように歩いていたのだが、年をとりマリア像を運ぶのがきつくなったのか、最近は杖と鳩にやるためのパン屑が入った白いビニール袋を持っているだけである。 新聞を読み終わると、バンカのおじいさんに、「ボン・ジア(おはよう)」と声をかけ歩き始めた。名前も何も知らないおじいさんであるが、犬の散歩のたびに顔を合わしている。かれこれ5年以上になるだろう。一度、ニンジャの足が萎えてやっと歩く状態の時に声をかけられたことがあるが、それ以外一言も話したことはなかった。その時は、ニンジャの足のことで頭が一杯で、彼の声がどんなだったか一切覚えていなかった。 今日聞いた、おじいさんの声は、想像通りの、少し甲高い神経質そうな、しゃがれた声だった。バンカのおじいさんに、声をかけると杖をつき、ちょっと足をひきずりながら1歩1歩ゆっくりと歩き始めた。その猫背気味の後ろ姿は、まだ明けきっていないうす暗闇に、少しずつ少しずつ溶け込んでいった。 僕ももっと歳を取ったら、彼のように毎日一人散歩をするのだろうか? 思わず自分の将来にだぶらせてしまった。
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