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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
8・22冬の時代 [画像を表示]

8・22冬の時代 (2017/08/22)  今日も寒い。この頃寒い日が続く。
寒いし夕の散歩は止めよう、と心が折れそうになったが、写真を撮りに出ないと、外で一眼レフをカバンから出すのが怖くなってしまう。もとのように躊躇なしにカメラをカバンから取り出せるようになるまで時間がかかるし、モノを見る目がボケるので、できるだけ毎日、外で写真を撮るようにしている。要は気が小さくて怖がりなのだ。撮りたいシーンに出くわすと躊躇することなしに写真を撮るためには写真の操作も合わせて、僕の場合は毎日歩いて写真を撮り、訓練しておかないといざというときになかなか納得いく写真が撮れない。
 時々、一眼レフを片手にさっそうと歩く人をみかけるが、僕にはとてもそんな勇気はない。僕はセントロをほぼ毎日徘徊しているが、ルートを毎日変えるほど臆病なのだ。本当は、カメラを盗られようが暴行されようが、カメラを片手に歩くのがシャッターチャンスを逃さないためにも一番良いと思う。僕もできればそうしたいが、カメラを盗まれるとまた買うような資金はないし、もし強盗に襲われれば、ずっとトラウマが残り、しばらく写真が撮れなくなりそうな気がする。治安が悪化し、そういう危険に遭う確率は非常に高くなった。路上生活者がいたるところにいて彼らの誰か彼かが必ず見ているから非常に危ない。
 以前は、カメラを首にかけ、カメラジャケットを着てちょっと自慢そうに歩いているカメラマンをしばしば見かけたが、この頃は滅多にみかけなくなった。職業カメラマンが激減したのだ。仕事がなく廃業してしまった人間も多いと聞く。強盗にやられて、自慢するためにカメラをむき出しにして歩く人間も減ったのだろう。今、サンパウロでプロのカメラマンとして生活していくのは非常に難しい。僕も、頼まれればどんな写真でも撮り、文章をチョコチョコ書いてやっと生活しているありさまである。カメラの進歩で、ちょっと器用な人間なら誰でもそこそこ写真が撮れるようになり、わざわざお金をだして撮ってもらう必要がなくなったし、知識や技術がなくてもカメラの仕事ができる。
「一週間であなたもカメラマン」というような講座があるそうだ。そういう講座で習った人間や、一眼レフカメラを買った人間がカメラマンと称して安いお金で仕事をするからますます古いカメラマンの仕事は減っていく。
 昔からのカメラマンにとってまさに冬の時代である。

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セ広場には失業者が集まり、町の吹き溜まりのようになっている。カトリック教系新教の説教を聞きいる人々


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