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     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
8・28寂れたボリビアン・フェイラ [全画像を表示]

8・28寂れたボリビアン・フェイラ (2017/08/27)  今年の初め、ブラス区(装飾品卸街)にある、食品雑貨を売るボリビア人フェイラ(青空市)に行った。ブラジルのフェイラでは見られない、いろんな屋台がでていて面白かった。もう一度行きたいとずっと思っていたのだが、バスで行かなければならないこと、治安がイマイチよくないことなどが合わさってなかなか重い腰を上げることができなかった。たまたま行く機会ができ行ってみた。
 今年初めに行ったときは土曜日だったので、一般商店も開いており多くの買い物客で賑わっていた。日曜日の今日は人通りが少なく、フェイラがある通りにいく途中は人通りも少なく、危ない雰囲気がプンプンと漂っていた。大通りにはアフリカ人が路上で敷物を広げて売っている程度でブラジル人はほとんどいない。それは、アフリカの都市に紛れ込んだようだった。先入観で見てはいけないが、真っ黒で背が高い人相の悪いアフリカ人がずらっと並んで路上販売をしていると、あまりいい感じは受けない。アフリカ人は目つきが鋭く、大柄な人が多いから、威圧感がある。数人にジロジロ見られると決していい気分ではない。彼らからすれば、その逆も当然ありえ、数人の東洋人に見られれば気分が悪いだろう。以前、パラグアイのインディオと白人混血の警官数人に車を止められたときは、何も悪い事をしていないのにドキドキした。表情の硬い異国の人数人に囲まれると緊張する。
 大通りから横道に入ると、ボリビア人用の散髪屋や送金所がぽつりぽつり増え始めたが、その通りは、普通の人だったら通り抜けるのを途中でやめてしまいたくなるほど荒れた雰囲気が漂っていた。建物の壁にもたれかかってだるそうに路上販売をする人相の悪いアフリカ人、ボリアビア人、ゴミはいたるところに散乱している。遠くから、物悲しいボリビアの音楽が流れてくる。異国にきたような錯覚を覚えるほどである。僕は以前、このフェイラに来ていたことがあるので、この道を通ればたどり着くだろうと解っていたから最後まで歩きとおすことができたが、何も知らなければ引き返していたかもしれない。
 やっとフェイラにたどり着いたが、以前の賑やかさがなかった。出ているテントも少ないし、通行人も依然と比べずっと少ない感じである。以前は菓子パン、パンを籠にいっぱい盛ったテントが数軒あったが、それもなくなっているしボリビア特有のスモモ? ジュース(ジュースの中にスモモ? を1個いれてくれるジュース。本当の名前は知らない)などの軽食屋も随分少なくなった。活気がすっかりなくなり同じフェイラかと見間違うほどである。前来たときも写真は撮りづらかったが、今回はそれ以上で、撮れなかった。ボリビアのラパスなどでは何度も写真を撮ろうとして怒られたからボリビア人が写真嫌いなことを知っていた。無理に撮るつもりはなかった。
 パンを売るテントで菓子パンを買った。別に食べたくもなかったのだが、最近はいつもテントが少なくなっていることを確かめたかったのだ。売り子のボリビア人にしては細めの、30台ほどの女性に聞くと伏し目がちに答えてくれた。
「テントが少なくなったんじゃない?」「そうね、少なくなったわ」「どうして?」「知らない」「ボリビアに帰ったのかな~?」「さ~」返ってくる答えはあまりにもそっけなく、それ以上聞き出すことはできなかった。もし、これがブラジル人だったら、1つ聞けば2,3の答えが返ってくるだろうに・・・。
 最近でこそ、出稼ぎにやってきたボリビア人も銀行口座を開けられるようになった? ようだが、以前は口座をあけられなかったために皆タンス預金だったらしい。そのお金を狙ってブラジル人強盗が横行したことがある。強盗が入った時に小さな子供が怯えて泣きだしてしまい殺された事件はボリビアでも話題になり大騒ぎになった。さらに、出稼ぎにきた人々は奴隷労働を余儀なくされ工場オーナーが捕まる事件は今でもあとをたたない。もっとも、捕まるオーナーのほとんどはボリビア人だし、出稼ぎにやってきた人もボリビアで生活するよりましだ、という人もいるらしい。
 ボリビア人街もどんどんアフリカ人に侵食されはじめているような感じがする。街は今後ますます変わり、肌の黒いボリビア人がどんどん増えるだろう。帰りにレプブリカ広場のヒッピー市に寄ったが、こちらにはびっくりするくらい中国人が増えていた。そのうち、サンパウロは中国人とアフリカ人ばかりになりそうだ。
とは言っても、もしかしたら、日本人移民が次から次へとやってきていた時代には、ブラジル人は、サンパウロが日本人だらけになってしまう、と心配したかもしれない。そう考えると、いつの時代も、ブラジルに、あらゆる国の人々が集まるのは普通の流れなのかもしれない。ブラジルは世界の吹き溜まりなのだ。自分も含め吹き溜まって来た人間なのだ。

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日曜日行ったフェイラ。テントが少なくなりすっかり寂れた感じがする。写真も撮りづらい雰囲気がプンプン


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今年初め同じ時間帯に行った時のフェイラ。小雨が降っていたものの人通りはあり賑わっていた


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