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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
9・5 郷に入っては郷に従え

9・5 郷に入っては郷に従え (2017/09/04) 今回のノルデステ(東北伯)アラカジュの旅はピエロの演劇グループを撮影する旅。6月からピアウイ・テレジーニャ、パナイーバなど東北伯各地を巡っている。劇団員が底抜けに楽しい奴らばかりで面白い旅ではあるが、普段、陸の孤島に住んでいるような生活をしている僕にはブラジル人との文化の違いをしばしば感じることがある。
 旅の最終日の公演後のレストランで僕の頼んだ料理が最初にやってきた。皆、お腹がすいているものだから、一斉に視線が。もしブラジル人だったら、「ちょっと食べない?」と聞いて届いた食事を分けただろう。それも当然考えたが、僕はそういうのがあまり好きでなかった。ブラジル人は食べているアイスキャンデーを食べていて、偶然に人と出くわすとほぼ必ず、「味見しない?」と、食べ掛けのアイスを差し出す。飲みかけのシュースなども同様だ。どうも、僕はこういうのが嫌いだし、日本でそういうことをしたことがなかった。すぐに他の料理も届くだろうし、一人一人に小分けに切ってさしだすのが面倒くさかった。衛生的にも肌に合わなかった。
 劇団員の一人が大きなサラダを頼んで他の劇団員にあげていた。ひょいっと手でつかんで卵をあげたり、フォークとナイフであげていた。そして最後に卵を摑んだ指をペロっと舐めた。ちょうど同じ釜の飯を食べる感じである。見ていてほほえましい。しかし、僕はすきではないのである。
という訳で、皆の料理が届くまで待とうとはチラリと思ったがそれも面倒くさかった。ブラジルにはそういう習慣はないので、誰にも「味見をしない?」などとも言わずに、さっさと自分の料理を食べ始めた。彼らはケチな奴、と違和感をもったかもしれない。僕は自分の料理が減ることも惜しくもなんともなかったが、いちいち皆に味見を申しでるのが僕は嫌だったのだ。「郷に入っては郷にしたがえ」にした方が良いことは解ってはいるのだが、なかなか自分を曲げてまで入る気にならない。頭が固いのである。柔軟な頭をできるだけ持つようにしているのではあるが、いざそのときになると難しい。


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