9・23 トラベスチとエレベーター (2017/09/22)
今日も無事朝の散歩を終え、エレベータ乗り場に行くと、金髪長髪のトラヴェスチが一人、携帯を見ながら待っていた。女性にしては長身であるからたぶんそうだと思う。高いヒールにミニスカート。朝6時半にそんな恰好でいるのは、まず9割方風俗関係の人間である。店ではたらいていたか、道で立っていたのだろう。 僕の住む建物はセントロの境にあるため、トラベスチ、ゲイがわんさかと住んでいる。最近は、交通の便利が良く、演劇、生演奏の店などイベント会場からも近いことから、セントロに人気が出ていている。他の地域の不動産が下がっているにもかかわらず、セントロ地域の住居は引く手もあまたのようで下がっている様子はない。近くのアウグスタ通りや周辺には次から次へとアパートの建物が建てられている。 うちのアパートは文化遺産に選出されるような古い建物だから、家賃はそこそこで、メトロ駅からもバスターミナルからも10分で行ける立地条件のよさから空きアパートはないほどらしい。そこそこの家賃とはいえ、一般庶民が借りるには高い。ある程度金のある人でないと借りことは難しい。そこで金のある風俗関係者たちが住むようになるようだ。 僕はと言えば、20年ほど前、不動産がまだ安い時に、たまたま入った金をはたいて買っていたのだ。もし、このアパートを買っていなければ、今頃、日本に帰っていたと思う。 そのトラベスチとエレベーターに乗ることになったのだが、こともあろうに、雌犬アズミが後脚だって前足を彼女のブーツにもたせ掛けてしまった。 「あっ、ごめんなさい」と謝って慌ててリードをひっぱった。低い男の声で「問題ないわ」と声が返ってきた。そこで初めて男だと確信できた。それまで彼はずっとうつむいて携帯を見ていたので顔を見ることができず、もしかしたら女性かも?? と思っていたのだ。結局、僕はずっと彼の後ろ姿しか見えなかったので、どんな顔なのかわからずじまいである。
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