10・26 ブラジリアンドリーム (2017/10/25)
ここ数日雨がふったり止んだりのぱっとしない天気が続いている。その上肌寒いし・・・。 早く、夏らしいカッと暑くて、ばばばっとスコールが降る天気になってもらいたいものだ。とはいいつつも、そんな天気になったらなったで、暑すぎる、と文句をタラタラいうのであろうが。
セントロを歩いていると、頭の上にチョコンとヤシの葉っぱで作ったバッタを乗せ、手に素材のヤシの葉を持って歩いているオジサンとすれ違った。服装からするとどう見ても路上生活者である。写真をとらしてもらおうか、どうしようか、と迷っていると、一人の通りすがりの中年男性がそのバッタおじさんに声をかけた。 「そのバッタうっているのかい・・・・」離れていたのでよく聞こえなかったが、そのようなことを話しているようだった。 一瞬で遅れたことで声をかけるタイミングを逸してしまい、すっかりその気は失せてしまった。それでも少しの間、立ち止まって彼らのやりとりを見ていた。自分の作品、売り物を持って歩いているだけで、売れる可能性があるのだと、感心してしまった。 ひょんなことから、バッタが売れに売れ、大作家になって金持ちになれるかもしれない。それは、万に一つもないようなことであろうが、ブラジルだと絶対にないとは言い切れない気がしないでもない。それこそブラジリアン・ドリームである。 サルバドールのペロリーニャ(歴史の街。サルバドールで最も有名な観光ポイント)の通りで、黒人の男がヤシの葉を編んで帽子を売っていた。数か月後に行くと、店にいたので、働くようになったのか、と聞くと、自分の店だと言う。よく聞くとヨーロッパ女性が援助してくれた、という。サルバドールにはヨーロッパや南伯、サンパウロの女性が男を漁りに行く。(実際、同じホテルに泊まっていた女性がそのようなことを話していたのを聞いたし、何度かそんな話を人から聞いたから事実だろう)。運よく? そのような女性に出遭ったのか、あるいは芸術性や可能性を見出されたのか? ともかく、ヤシ帽子売りの男性は店のオーナーになっていた。そのとき店にいた彼の奥さんと子供がなんとも印象的だった。 今度ヤシバッタ売りのオジサンに会ったら、サンパウロのセントロでお店を持っているかもしれない。世の中は何が起こるかわからない。ひょんなことが思わぬ成功につながるかもしれない。ブラジリアン・ドリームが無いとは誰も言い切れない。そう思うとなんとも勇気づけられた
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