6・13 どこ出身? (2018/06/12)
どうやらブラジル人も自分の生まれ故郷に対して誇りを持っているらしく、誤った出身地をいうと怒られる。 メルカードで働く青年に「ノルデスチ(東北伯)出身地だったよね」と聞くと「違う」とちょっとムッとした感じで訂正してきた。「ノルチ(北伯)だよ。パウマスだ」という。「いつも客は俺の顔を見てノルデスチ出身だろう、というから嫌になるよ」と彼は苦笑いした。 僕にはノルデスチというと、黒人との混血、ノルチはインディオの混血が多い地方とくらいしか思っていなかったが、彼らには重要な線引きがあるらしい。言われてみれば、僕も韓国、中国人と間違えられると腹立たしい。全然日本人とは違っていると勝手に思い込んでいる。しかし、ブラジル人にとってはこの3国の人間は同じなのだ。同様のことが言えるのだ。例えば、ボリビア人とペルー人も、僕から見たら同じように見えるが本人たちにとっては大きな違いがあるらしい。しかし、僕にはほとんど同じでしかない。 数年前のイグアスのレストランでのできごとを思い出した。「ニーハオ」と言われて腹立たしく思い、「中国人ではない、日本人だ。国がわからないなら、どこの国からきたか聞け!」後で考えると、そのボーイは決して悪気があったわけではなく、むしろこちらのことを思って挨拶してくれたのだ。悪いことを言ってしまった、と後悔した。 僕がブラジルに着た頃は、韓国人や中国人はナイトクラブで女性にもてるために、嘘をついて日本人だといったらしい。その頃はちょうどバブルがはじけたばかりで、日本の経済がぎりぎり良かったころでる。今、日本からくる観光客と言えばケチが多いが、この頃はまだ羽振りのよい日本人が多かったのだろう。 今や2国とも経済が発展し自分の出身国の嘘をつくようなことはないようである。ただ、日本人が真面目で優秀というような意識が年配を中心としたブラジル人の中にいまだに残っていて日本人に対して親切にしてくれるブラジル人が多いことは確かである。
|