カーニバル・デ・ルアにびっくりするほどの人が集まっている。おそらく数万人はいるだろう。レプブリカ広場方面とパウリスタ方面からきたブロッコ（グループ）が合流した交差点は人だらけだ。 　これほどの人ごみなら、携帯を盗まれても気づかない可能性が高い。人ごみの上にセルベージャ（ビール）やウォッカをのみながら仲間とわいわいいいながらの行進だから、泥棒は隙をつきやすい。コロンビア人の泥棒が58台の携帯を盗んでいたそうだ。おそらく、それは氷山の一角であるだろうから、びっくりするほどの被害があると思う。おそらく南米中から、カーニバルを目指して泥棒が集まっているのではないだろうか？ 　あまりの人ごみと今にも降りだしそうな空をアパートの窓から見て、写真を撮りに行く気がすっかり失せてしまった。 　今年のセントロには、去年まで置かれていた仮設トイレがまったく置かれていない。糞尿タプタプ満載のトイレではとても用を足す気にならなかったが、それでも女性にとっては有難いものだったと思う。それがないのだ。セルベージャ片手に行進はどうしても尿意は催すと思う。サンパウロでは、公衆トイレなどないからバールや店、ホテルに行って借りるしかない。カーニバル時期には貸してくれる店はあまりないだろう。 　見ていると男は建物の陰に行ってタチションをしているが、女は仲間に囲ってもらって用をたしていた。流れ出る筋状の水流が妙に生々しい。便所の難があってもそれでも、カーニバルに怒涛のように集まってくるのは信じられない。さすがというか、あっぽろけ、というか・・・。雨が降って濡れたのをいいことに、そのまま垂れ流している女性もいるのではないだろうか？？？　海でションベンをそのまましてしまう感覚である。 　雨が降ろうが、モノを盗まれようが、ションベンをもらそうが、皆とワイワイ騒いで日ごろのうっぷんをすべて洗い流す。カーニバルの原型に限りなくちかい。もしかしたらこれこそがカーニバルかもしれない。

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