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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
12・21 今朝のできごと

12・21 今朝のできごと (2019/12/21)  土・日の朝7時前の、セントロ付近の犬の散歩は、危ない目に遭う確率が大きいので、止めていた。若犬のために解禁したところ、最近、路上生活者? に突然襲われ、また止めたのだ。大丈夫だろう、と思っていたのだが、やはり、なんだかんだ言って危ない。油断は禁物である。
 そんな訳で、オーガニック市で買い物を終えてから、リン(若犬)を散歩に連れて行った。もう、すっかり9時を回っていて、人どおりも増えている。朝方肌寒かったのに、気温は上昇し25度を超えている。しばらく歩くと汗ばんできた。
 ジョン・メンデス広場を通り過ぎ、ファーストフード「ハビブス」の前を通り過ぎようとしたところ、片足を引きずった13,14の少年が、小銭をくれないか、と言ってきた。犬の散歩にはお金を一切持ってあるかないので、「ないよ」と冷たく答えた。あっさり少年はあきらめた。数m歩いたところで、もしかしや、あるかも、と思い直し、ズボンのポケットをさぐった。あった! 小銭が合計1レアルほどあった。市でたまたま、お釣りをポケットに入れていたのだ。引き替えし、男の子に渡した。
 わたした後に、ブラジル人の友人が、「子供にお金を渡さない方がいいよ。食べ物を買わずに、麻薬を買うから」と言っていたことを、思い出し、失敗した! と思いながら散歩を続けた。人にお金をあげるなんて何年ぶりだろう? 
 お金をあげようと、財布からだそうとしたところを、財布事盗まれた話や、時間を聞かれたので教えようと近くによったところを、拳銃で脅されお金を盗られた話など、キリがないほどたくさん聞いていた。自分自身も人にだまされそうになったり、だまされたり、で、すっかりブラジル人が信用できなくなっていた。なので、路上で人にお金を乞われても完全に無視していたのだ。
 今朝、お金を上げる気になったのは、昨日の、メトロのギター弾きのことがほんの少し記憶に残っていたせいだろう。
 最近、メトロの中でギターやバイオリンなどの楽器を弾いたり、歌ったりして、お金を乞う人々が増えてきた。その多くは、ぼくには騒音でしかなかった。
ああ、またか・・・、メトロに乗る度にやってくる自称音楽家に僕はうんざりしていた。
ところが、その男は、歌い始めるとたちまち、周囲の乗客の気持ちをつかんだ。だんだんニコニコする人が増え、中には彼と一緒に歌い始めている人もいる。何人もの人々が、床に置かれた帽子にお金を投げ込み列車を降りていった。
 ギター弾きは、始終笑みを浮かべ、いかにも人が好さげだ。服装も小奇麗、その上、歌もうまかった。明るくて陽気なブラジル人らしいブラジル人だ。
彼をみていると、自分が、始終、騙されないように肩肘に力入れて暮らしていることに気が付いた。ちょっと力を抜こう、その時の思いが今朝でたのかもしれない。


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