5・3 サンパウロの街路樹の種を家に植える (2020/05/02)
アパートの近くの街路樹にウルクンがある。花が咲いている時期によく写真を撮った。薄い桃色の可愛らしい花が咲く。 ウルクンとはインディオが体や顔に模様を描くのに使う赤い染料である。食紅としてもブラジルでは使っている。サンパウロでは花が終わり実になっている。樹上では何個かの実がぱかっと口を開けている。道路わきで見ていて、ウルクンを種から植えても面白いかも、と思いついた。車道を渡り中央分離帯に植えられているウルクンの実を取りに行った。ウルクンの木は樹高が僕より高く、手を伸ばして届くところには実がなっていない。地面を見たが落ちている様子もない。諦めて帰りかけたとき、地面に落ちた、数個のウルクンの実が目についた。振ると、音がする。中には無事種が入っているようである。 さっそく帰って、実を開けると中には数十個の種が入っていた。チリ紙の上に取り出し、もう一枚チリ紙を種の上にのせ、霧吹きで水を与える。うまくすれば、数日後に芽が出るはずである。地面にそのまま植えてもよいのだが、こうした方が芽がでやすいらしい。なんとなく愛着も沸いてくる。 犬の散歩をしていると、枝払いを行った、巨大なゴムの街路樹の幹から芽が出ていた。試しに取ると簡単にぽきっと10cmほどの芽が取れた。たくさん芽が出ていたので念のためにもう1本いただいてきた。 ゴムの木は、僕が幼少の頃、母親が大切に育て応接室に置いていた。高知では当時珍しかったのだろう? ビールで葉を1枚1枚拭いて光沢をだしていたほどである。 サンパウロでは珍しくもなんともなく、ごく普通の街路樹である。広場などにも植えられ、巨大になったものは大人4,5人が両腕を広げたほどの大きさになる。あまりにも普通すぎて誰も見向きもしない。最近でこそ、観葉植物に興味を持つ人がふえてきたが、もともとブラジル人は、動植物に関心をもたない。国花であるイッペーでさえ、写真を撮っているとサクラ? 何の花? と聞いてくる人が多いほどであるからその無関心ぶりが伺われる。それでも最近は、自然、動植物に興味を持つ人が増えてきた。ペットの犬猫は驚くほど増えた。今や、犬猫を禁止するアパートはないのではないだろうか? 法律でも飼うことを許可されたはずである? 今度、イッペーの木の近くの地面に芽がでていないか見てみようと思っている。
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