10・4マグロの心臓 (2020/10/03)
マグロの心臓 一度マグロの心臓をメルカードの知り合いの魚屋に取り置きしてもらい、食べたことがある。カツオの心臓を大きくした感じで、味もほとんど同じでおいしかった。ただ大きすぎて大味な感じであったが・・・。 カツオの心臓を故郷の高知では売っていて、ショウガと煮て幼少の頃からよく食べたものである。非常においしく、僕の好物のひとつであった。僕が幼いころは、魚の内臓物ということで、非常に安いモノであったらしい。高知に帰った折、何が食べたいかと父に聞かれたので、カツオの心臓の生姜煮、と言うと、父は、「最近は滅多に売ってないし随分高くなった」と嘆いたものだ。よくよく話を聞くと、そのおいしさが広く知られるようになり、最近は高級料亭でもだされるようになり、魚屋でもあまり見かけなくなったらしい。カツオの心臓を山盛りにしてショウガと煮て食べたのは、今や昔となってしまった。 ブラジルで15年ほど前、同じような魚だから、マグロもカツオも、心臓は同じようにおいしいだろうと思い、心臓がはいったらとっておいてと魚屋の、日本出身のおじさんに頼んでおいた。 手に入れたマグロの心臓はカツオの心臓に比べ、10数倍大きかった。カツオの心臓は大きなものでも半分に切れば充分であったが、マグロは細かく切らなければならなかったことを覚えている。 しかし、手に入れたのは1回きりで、その後おじさんがいなくなってしまい2度と入手することはできなかった。その後、よくいく、日系の魚屋でマグロの心臓たのむと、「魚の心臓はマクンバ(ブラジルの呪術、日本の藁人形のようなもの)でよく使われるので、心臓を売ったりすると、悪い評判がたつから、扱っていない」という。 さらに、1本の大きなマグロが入荷してもたいてい内臓は鮮度を保つために抜き取られているらしい。 魚の浮袋や頭などは売られているのに、魚の心臓が売られていないのはマクンバの影響が強いからのようだ。同じようなものだと思うが・・・。特に浮袋は中国人に高額で売れるために、大切にガラスケースに並べて売っている。 最近はほとんど見かけないが、かつてはセントロ付近の街角でも牛の心臓や足、鶏の死骸いれた大きな瓶をよくみかけたものだ。おそるおそる写真に撮ったことを覚えている。 今でも、病気が続いたり、不幸が続いたりすると、ブラジル人の多くはマクンバを疑うようである -
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