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南米漂流
     今日のブラジル 写真日記 (Photog...  (最終更新日 : 2023/01/16)
10・11 漂う [画像を表示]

10・11 漂う (2020/10/10) 今日は久しぶりの快晴。
 4時30に目が覚めた。起きるか、また寝るか、迷ったが、起きることにした。起きて小便に行っている隙に、僕の寝ていた場所にはもうリンが寝ている。どうしてこの犬はいつも僕が寝ていた場所に寝るのだろう??? もう12キロを超えたリンを横に押しやって寝るのにはいつも苦労している。
 先週、セントロ周辺の早朝は曇り空が続いたので、日の出が見えなかった。窓の外をガラス越しにちらっとみると周辺の高層ビルが赤く色づいている。もしや、と思い窓を開けて東の空を見た。思った通り、夜が明け始め、赤く色づいた。朝焼けを見たのは久しぶりのことである。それにしても、夜が明けるのが早くなった。まだ、5時17分である。
   最近、なんで南米に来たのだろう、日本に住んでいた方が良かったのではないか? という考えが時折頭をよぎる。日本の学生時代の仲の良かった友人たちは、大学の先生になったり、弁護士になったり、一流商社の役職についたり、皆それなりに安定した収入を持ち、ちゃんした暮らしをしている。それなのに、今の僕はと言えば毎日くらしていくのさえやっとの状態である。しかし、考えてみると、人付き合いがヘタで社会性の欠如している僕が例え日本で暮らしていても、さほど大きな違いはなかったかもしれない。ブラジルだからこそ、生きてこれたのかもしれない。ただ、性格がよく信用できる日本女性と出会っていれば、今とはずいぶん変わった可能性もあるような気がする。何故か、僕はいつも、いわゆる悪女に惹かれるのだ。
 そんなことを考えていると、あっという間に明るくなり、5時半には、まだ残っていた夜の余韻は一掃されてしまった。毎朝、雲でおおわれ、気づかないうちに、いつの間にか日の出は早くなっていたのである。5時47分には完全に夜が明けてしまった。
 この武漢肺炎のさなかでも、どんな時でも、地球は動いているのだ! 自然は移ろっているのだ!! 思わず、うれしくなった。初めてイグアスの滝を見た時の感動を、アマゾンの刻刻と変わる夕焼けに見とれたことを、熱帯雨林のじっとりまとわりつくような暑さを肌で感じたことを、見渡す限りのパタゴニア大草原の広大さを、思い出した。その時の心震える感動を! 
 これらの感動は僕の脳裏に深く深く残存し、そして目に焼き付いているのだ。これから先、また後悔することもあるだろう。そのたびに思い出そう。
ただ漂うような、自分という人間が生きてきた証も何もない人生ではあるが、これはこれで僕には良かったのだろう。そう思う。

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5時前の様子


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