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南米漂流
     フェルナンド山本の「夜な夜な日記」  (最終更新日 : 2013/01/21)
夜話その13 逃げ出したいけど止まらない

夜話その13 逃げ出したいけど止まらない (2009/02/03)  ポルノ映画を見ているうちに小便がしたくなった。こういった所の便所は変な奴が多そうな感じがするのでできるだけ行きたくなかったのだが、切羽詰まっているので仕方がない。階段脇にある便所におそるおそる入った。
 意外に中は広く、清潔なので、ちょっと拍子抜けした。背の低いハゲチャビンの白いワイシャツを着たおじさんがいるだけで、とりあえずは安全そうであった。やっぱり、でっかい、スキンヘッドの男なんかがいると怖い。このおじさん位だったら、襲ってきても、僕でも対抗できそうである。とにかく、ブラジルはゲイが多いので男だからと言って安心できない。男が男に襲われたなんて笑い話のようだが、実際ありえるから、油断できない。
 それでも、念のためにおじさんから一番離れた場所で小便をする。溜まった小便は気持ちよく勢い良くほとばしりでた。小便の流出に気を向けていると、一番遠くにいたはずのおじさんが、すぐ隣にきているではないか。なんか気持ちが悪い。それでも何をするでもないので放っておくと、つま先を立てて、ついたて越しに覗こうとする。
 ゲッ、こいつはなんなんだ!
 睨み付けると、ニヤ~ッと笑う。お、お、おぞましい!
「見るな!」というと。
「見ちゃダメかい」と妙に優しい声でいう。
「当然だろうが、見るな」と言って目一杯睨み付ける。
 我慢して溜まりに溜まっていた小便はなかなか止まらない。背中を男に向け、手でできるだけ向け隠す。勢いが弱くなった小便をなんとか途中で止め、一目散に便所を飛び出た。
 未だにあの男の粘りつくようなニヤリ笑いが忘れられない。もう、2度とポルノ映画館の便所にはいくもんか!
  


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