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南米漂流
     フェルナンド山本の「夜な夜な日記」  (最終更新日 : 2013/01/21)
夜話その17 買って! 買って!

夜話その17 買って! 買って! (2009/03/30)  いつもの様にナイトクラブのカウンターに座って、ちびりちびりと缶ビールを独り飲んでいると、日系人らしき東洋人女性がやってきた。
「どうして、そんな悲しい顔しているの?」
自分では普通の顔をしているつもりなのだが、人からみたら悲しそうに見えるらしい。よく言われる。
「別にかなしくなんてないんだけど・・・・」
「アズミよ。あなたは?」
「リオだよ。日系なの?」
 見た目はどうみても東北地方出身のちょっとオカメ的な古風な顔つきである。眉毛の部分と小鼻にしたピアスが光る。20、21歳くらいだろうか。
「メスチッサ(混血)よ。母が日系で父がイタリア系なの。19歳よ」
「19歳! まだ子供じゃないか。こんなところで働いちゃだめだよ」
「18歳から働いてもいいのよ。大学に行く学費が必要なの」
 話しているうちにすっかりうちとけ
「ねえ、リオ。毎月私にお金くれない。そうしたら夜の仕事もやめるわ」と突然いってきた。
「・・・・僕は貧乏だからとてもそんな余裕はないよ・・・・」よっぽど、すけべ親父にみえるのだろうか、ちょっとショックである。
「あなたは、貧乏そうな顔をしてないわ、ねえ、だめ?」
 そういわれると嬉しい気もしないではないが・・・・。自分の生活も苦しいのに、払ってあげるお金はとてもない。
「日本人の駐在員でも捕まえて頼みなよ。僕にはとてもそんなお金はないよ」
「私、SONYのピンクのメモリー4ギガのノートブックが欲しいの。ねえ買ってよ。リオ」話はどんどん飛んでいく。自分にも買えないのに、初めて会った女に何故僕が買わなきゃいけないのだろうか? そのなれなれしさに驚いていると、「大きな熊のぬいぐるみあげるから、ねえ買ってよ」と言ってきた。思わず大笑いしてしまった。ぬいぐるみとは。なんかにくめない娘である。
「明日、ショッピングセンターに行きましょうよ。私、スカートとパンティが欲しいの。ねえ買ってくれるでしょ」あまりのずうずうしさに驚いてしまった。僕はそんなに人が良さそうに見えるのだろうか・・・・・。
「ケチ、じゃあ、チップ20レアル(1000円)ちょうだいよ!」
 楽しませてくれたし、あげたいのは山々であるが、あいにく今日はついつい飲みすぎてしまい支払いでお金が必要である。「ごめん。今日は持ち合わせがなくてあげれられないよ。本当にごめん」
 怒るでもなく、悲しむでもなく、彼女はスィーと行ってしまった。
 初めての女性にこれほどせがまれたのは初めての経験であった。不思議に嫌味がなかったのは彼女の人間性か?
 


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