夜話その22 セックス依存症 (2010/04/27)
「この近くに有名なナイトクラブがあるらしいけど?」 「うん、あるよ。でも病気が危ないよ」 いつも行く近くの小さなスーパーの兄ちゃんとカフェを飲みながら、バカ話をしていた。ときどき、ほーっと思うような面白い話を聞けるのでスーパーに行くたびにカフェに誘うようになった。5回誘って4回は忙しくてつきあってもらえないが、時折、面白いバカ話を聞けるのでくじけず声をかけている。 このスーパーはパウロと彼の弟が共同で経営している。実権は弟が握っているようで会計は弟、パウロは、荷物を運んだり、客の相手をしたり、いつも忙しそうに動き回っている。弟は結婚していて、ちゃんとした家庭を築いているが、パウロはまだ独り者でふらふらしている。 「じゃー、どこか面白そうな店ある?」 「僕は、ときどきボンボアに行くよ」 「えーっ、あそこは随分高いらしいじゃない」 「うん、1年に2回だけね。この間は4人の女とやっちゃった」 「えーっ、4人の女と! 何時間の間に?」 「うーん、4時間くらいかな。一番最初の女性とは2発、後は1発ずつね。」 「合計5発。えええええ。すごいね。パウロは何歳なの?」 「39歳。20代の頃、婚約者がいて、1日6回やってた。最後の方は僕がやろうっていったらね、彼女は本当に嫌な顔をしたよ」 「そ、それは、ちょっと異常だよ」 「うん、僕の友達もそう言っていたよ。結局、婚約者とは7年続いたけど、もう耐えきれない、って言ってでていっちゃった」 そりゃそうだ。でも、1日6回、7年も続けたということは、その女もよっぽど好きものだったのだろう。パウロと別れた後、彼女も身体を持て余したのではないだろうか? 「じゃー、今はどうしているの?」 「うーん。聖書を読むようにしているよ。そうすると、ヤリタイ、ヤリタイっていう気持ちも薄れてきてね。でも、読むのをやめると、女のことをすぐ考えちゃう。最近はそんなことも少なくなったけどね。年かな。はははは」 僕も20代の頃、彼女と何回やれるか、試してみたことがあるが、1日かけて4,5回だったような気がする。頑張ればもっとできたような気がしないでもないが、とてもそれ以上やる気は起こらなかった。 最近、アメリカではセックス依存症という一種の病気があり、ウッズや俳優たちなど結構多いという記事を読んだ。読んだ時は単にセックスをやりたいだけなんだろう、と思っていたが、実際に間じかにそういう人を見て話を聞くと、やはりこれは一種の病気なのだ、と思ってしまった。 パウロの話を聞いた当初はそんなに何回もやれて羨ましいなという気もあったが、1日中、そういう妄想に悩まされるのもたまったもんではないだろうな、と思う。何事もほどほどが良いのだろうな、そう思う。
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